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・はじめに:タラブローチって何?
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“ケルト人”は、紀元前6世紀には世界史にその姿を現わし、ギリシャやローマとは違う価値観と美意識、高度な文化や優れた芸術性をもって、かつてヨーロッパの広大な領域に拡がったと言われます。ギリシャやローマのような大理石文化とは違い、自然の樹木、川や泉を尊重した彼らは、石造りの壮麗な神殿こそ残しませんでしたが、鉄や金属の技術を発達させ、全ヨーロッパの文明史に飛躍をもたらしました。ローマ人の目から見てもケルト人は自由闊達、新しもの好きで、色彩感覚に優れ、金銀の細工物で身を飾ることが好きな人々だったようです。
1980年代後半に、『幻の民ケルト人 The Celts』というテレビシリーズが英国BBCによって制作され(日本ではNHKが放送)、そのテーマ曲をケルト語系のアイルランドの言葉ゲール語で歌ったエンヤの歌声が世界中に流れて以来、“ケルト”は、番組が取り上げた国々を中心にヨーロッパじゅうでブームとなって盛り上がり、ミレニアムの年2000年にピークに達しました。ちょうどミレニアムと時期を同じくして1999年、EU加盟国中11カ国(当初)で統一通貨ユーロが使用され始め(ユーロ現金の流通は2002年より)---英国はユーロに参加していないに関わらず---経済圏としてひとつのヨーロッパが目指されますが、そのEU加盟国を地図上で塗りつぶしてみると、古代ケルト人の勢力範囲図とされたものと似ていた---ということも、ミレニアムにケルトブームが頂点に達した理由のひとつと言えるような気がします。 日本では、ドイツ人のジャーナリスト、ゲルハルト・ヘルムが書いた『ケルト人』(関楠生訳、河出書房新社、1979年)が、古代ケルト人のことが一般に知られ、その後タイトルに“ケルト”と付く本が相次いで書店に並ぶようになったきっかけかもしれません。 ミレニアムの夢から醒めた時、“ケルト人”、そして“ケルト”という概念そのものへの懐疑が、主に英国で表面化してきましたが、それについては後のページで詳しく報告することにします。
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