IRISH-ON-FILM INDEX
ヒア・マイ・ソング Hear My Song ![]() ![]() ![]() 1991年 アメリカ、イギリス 105分 R ピーター・チェルソム監督 ネッド・ビーティ エイドリアン・ダンバー シャーリー・アン・フィールド タラ・フィッツジェラルド デヴィッド・マッカラム ウィリアム・フットキンズ ハロルド・ベレンズ ジェームズ・ネスビット コンサート・プロモーターである青年ミッキーは、脱税の罪で国外逃亡している幻のオペラ歌手の復活コンサートを計画するが、歌手は偽者のサギ師であった。仕事も恋人も失った青年は、名誉挽回のため本物のオペラ歌手を探して故郷アイルランドへと向かう。ひとりよがりでお調子者のミッキーが、人生で大切なものをみつけていく成長の物語です。ミッキーがさすらうアイルランドの風景がとても美しい。でも何といっても見所は、こんなのありー!?というような口あんぐりのラスト15分間でしょう! さわやかな感動にひたれる小品です。歌手をしつこく追いかける警官になつかしのイリヤ・クリヤキンじゃなかった、デビッド・マッカラムが扮しています。ヒロイン役のタラ・フィッツジェラルドは「ウェールズの山」でもヒロインを演じていますが本作でデビューしました。【竹内喜代子】 アイルランド出身のオペラ歌手というと真っ先に思い出されるのはジョン・マコーマック(野村さんの音楽コーナー参照)だが、映画ではネッド・ビーティが演じるジョセフ・ロックも実在のアイルランド人で、ステージ歌手として根強い人気があったそうだ。映画はリヴァプールのアイルランド系社会を背景としている。【マン】 瞳が忘れない ブリンク Blink ![]() ![]() 1994年 アメリカ 106分 R マイケル・アプテッド監督 マデリーン・ストウ エイダン・クィン ローリー・メトカーフ ジェームズ・レマー ピーター・フリードマン ブルース・A・ヤング マット・ロス ポール・ディロン マデリーン・ストウ演ずる角膜移植手術を受けたばかりの盲目の女性が、殺人鬼につけねらわれるサスペンスです。ヒロインがアイリッシュ系かはよくわかんないのですが、アイリッシュ・フォーク・バンドに所属しているという設定で、ライブハウスで演奏する印象的なシーンがあります。彼女が所属する"ドローヴァーズ"というアイリッシュ・フォーク・バンドは実在するそうです。(今でもあるのか?) ヒロインを救う刑事役のエイダン・クインのワイルドかつお茶目な魅力が全開です。【竹内喜代子】 世界の涯てに 天涯海角/Lost and Found ![]() ![]() 1996年 香港 101分 広東語 リー・チーガイ監督 金城武 ケリー・チャン マイケル・ウォン ヒロインは白血病を患っており、イギリス人の船員から聞いた"スコットランドの沖には死者の魂が帰ってゆく世界の涯てと呼ばれる場所がある"ということばに感銘を受けて、船員を追ってスコットランドへ旅立つという設定。ヒロインに資生堂のCMに出演しているケリー・チャン、ヒロインを追ってスコットランドまで行く青年に大ブレイク中の金城武。この金城くんが超ラブリー、超キュート!おすすめの1本です。香港映画でスコットランドまで行ってしまうというのも珍しいのでは?イギリス人の船員が観光客相手にバグパイプを吹いて土地の少女が踊るというシーンもあります。【竹内喜代子】 香港人の移住先の人気ナンバー・ワンは伝統的にカナダだそうですが、スコットランドにも何がしかの憧れがあるのでしょうか。【マン】 以下に続くうわさ話の中に出てくる他サイトのURLは全て、リンクの設定をしてありませんからご自分で入力してください。また掲載してから年月が経っているので、すでに有効でなくなったURLもあるかと思います。悪しからずご了解ください。
羊たちの沈黙 The Silence of the Lamb ![]() 1991年 アメリカ 118分 R ジョナサン・デミ監督 ジョディ・フォスター アンソニー・ホプキンズ スコット・グレン テッド・レヴァイン アンソニー・ヒールド ブルック・スミス ダイアン・ベイカー キャシー・レモンズ チャールズ・ナピエール トレイシー・ウォルター ロジャー・コーマン クリス・アイザック アイルランド系アメリカ人の出世頭といえばJ・F・ケネディ大統領だ。1997年4月5日付け朝日新聞夕刊の「村松増美のとっておきの話」というコラム(連載第1回)に(1962年日米貿易経済委員会で訪米した田中角栄蔵相に、ケネディ大統領が)「"Mr. Finance Minister"と、突然田中蔵相に語りかけた。『ミシュタ・ファイナンシュ・ミニシュター』のように、Sの発音の時、歯の間から空気がもれるような、ボストンなまりの英語が、今も耳に残っている。」それで思い出したのがこの映画でジョディ・フォスターが演じたFBI訓練生の訛った英語だった。【マン】 ブルックリン横丁 A Tree Grows in Brooklyn ![]() ![]() 1945年 アメリカ 128分 エリア・カザン監督 ドロシー・マクガイア ジョーン・ブロンデル ジェームズ・ダン ロイド・ノーラン ペギー・アン・ガーナー テッド・ドナルドソン ジェームズ・グリーソン ルース・ネルソン ジョン・アレグザンダー ブルックリンには1960年代まで海軍造船工場があり、そこで働く労働者にはアイルランド系が多かった。またブルックリンは野球のドジャーズのホームタウン、トロリー電車の走る町だった。プロレタリア演劇出身のエリア・カザン(自身はイスタンブールからの移民)の長編映画第1作は、20世紀初頭のブルックリンを舞台にアイルランド系の文学少女フランシー・ノーランと貧しいその一家の物語だ。「モリー・マローン」や「アニー・ローリー」といった歌を愛し(野村さんの音楽コーナー参照)、酒飲みで夢想家のパパは給仕の仕事をサボりがち、ママが一家をしょって立つ。とはいえ当時の映画のことだからドロシー・マクガイアはいかにもハリウッド女優然としていて、貧乏暮らしに疲れたアイリッシュのおかみさんのリアリティはまるでない。途中でパパが死に物語は悲惨な展開になるのだが、これまたアイルランド系のおまわりさんが救いの天使のごとく現われて、最後はハッピーエンド。1950年代になって非米活動委員会の喚問(赤狩り)に遭った時、カザンはこの作品の意図について「物質的な意味ではなく精神においてアメリカを栄光化したもの」と弁明した。パパ役でアカデミー助演男優賞を得たジェームズ・ダンはボードヴィル出身で、実生活でも酒のせいで不遇の身だった。【マン】 我が道を往く Going My Way ![]() ![]() 1944年 アメリカ 126分 レオ・マッキャリー監督 ビング・クロスビー バリー・フィッツジェラルド リーゼ・スティーヴンズ フランク・マクヒュー ジェームズ・ブラウン ジーン・ヘザー ポーター・ホール フォートゥニーノ・ボナノヴァ スタンリー・クレメンツ カール・スウィッツァー アイルランド系アメリカ人の出世頭はJFKだが、芸能界に限って言えばアメリカの歌声と称されたビング・クロスビーだろう。ミュージカルではないが歌声をたっぷり聞かせるこの映画で彼はアカデミー主演男優賞を取り、その他各賞を独占した心暖まる映画だ。舞台はニューヨーク、財政難のカトリック教会に赴任した若いオマリー神父が、不良少年達(リーダー格はイタリア系)を手なずけて合唱団を作り、老司祭を助けて教会を建て直す。「トゥラルラ(アイルランドの子守歌)」を奏でるオルゴールの中に、老司祭の故郷アイルランドに住む90歳の母が送ってくれたウィスキーの瓶が隠してあるのが微笑ましい。翌年続編として「聖メリーの鐘」が作られた。この映画でもビング・クロスビーは赴任当初、教区の住民にいびられるし、「お葬式だよ全員集合!」の若い神父や「スリーパーズ」のロバート・デ・ニーロの神父などを見ても、カトリックの信仰篤いと言われるアイルランド系アメリカ人が神父を尊敬しているとは思えないシーンに出くわすことが多い。イギリスによるカトリック教会のヴァチカンからの切り離しと徹底的な破壊を経験してアメリカに渡って来たアイルランド人は、カトリックとは言ってもヴァチカンに統合されるいわゆるカトリックとは少し違う道を歩んだらしい。入植の初期には彼らは「聖職者からの管理をあまり受けていなかったために、信徒は、アメリカにおけるプロテスタントのパターンに倣って、教会財産の運用に限らず聖職者の任命に関してまで、かなりの決定権を行使していた」(柴田史子「移民の宗教」;井門富士夫編『アメリカの宗教』よりの引用)。現在のアメリカのカトリック教会は当然ヴァチカンの権威を受け入れているはずだが、教区信者の意識はいかがなものか、映画を見て想像するのも面白い。【マン】 聖メリーの鐘 The Bells of St. Mary's ![]() 1945年 アメリカ 126分 レオ・マッキャリー監督 ビング・クロスビー イングリッド・バーグマン ヘンリー・トレヴァーズ ウィリアム・ガーガン ルース・ドネリー ジョーン・キャロル マーサ・スリーパー リス・ウィリアムズ 「我が道を往く」の続編。ビング・クロスビー演ずるオマリー神父は今度はイングリッド・バーグマンの尼僧院長を助けて教区学校を救う。オマリー神父の他に、院長補佐の尼僧がアイルランド生まれ、また娘を寄宿舎に預ける問題家庭がアイリッシュ姓のギャラガーというなど、アイリッシュを使ってはいるが、バーグマンがスウェーデン生まれということもあり、前作に比べてアイリッシュ度数は格段に低い。クリスマス会で幼児達が自主的に演じるキリスト生誕物語が見もの。【マン】 ワン・フルムーン Un Nos Ola Leuad ![]() ![]() ![]() 1991年 イギリス 97分 ウェールズ語 エンダブ・エムリン監督 ダーバン・ロバーツ ティディール・ロバーツ ベツァン・フイド デリス・エイニール キアン・カイラン ディルウィン・ヴォーン・トマス Q:『ワン・フルムーン』という映画をご存じでしょうか。これが、どこの国を舞台にした映画かを知りたいのです。この映画を好きだという友達に、『アイルランドかもしれないから見てみて、そして教えてよ』といわれて見たのですが、お手上げでした。風景や文化的には、いかにもイギリスっぽいのですが、言語は英語ではない。発音はフランス語に少し似てなくはないけど、違う。では、アイルランドで、言葉はゲール語なのか? でも違う気がする。じゃあ、イギリスの中に、英語を公用語としない地方があるのか???学校教育で英語を教えてるシーンなんかはあるんですがね。なお、制作はイギリスと明記してありました。また、フィルムをFFILMと表記してあったのを記憶しています。ちなみに、その映画は、『罪を許す』というようなキリスト教的なテーマが根底にあり、どちらかというと重い話ですが、映像と音楽が美しいです。【都】 A:私も初耳です。手許の「ぴあシネマクラブ洋画編1997-1998」しか資料がないのですが、たしかにイギリス映画と書いてあるけれど、原題「Un nos ola leuad」とスタッフ・キャストの独特な名前から想像するに、ウェールズ映画です。1970年代以降のエスニック回復運動、ケルト・リバイバルの流れで、ウェールズ地方はケルト系言語のウェールズ語を復活させ、放送、学校教育など公的にウェールズ語の使用が実施されているのですから、外国への広報宣伝にもなるウェールズ語映画があってあたりまえですよね。【マン】 追伸:【都】さんに教えていただいたレンタル・ビデオを見ました。C・W・ニコルの子供時代を想像させるような少年が主人公ですが、フィリップ・リドリー監督のイギリス映画「柔らかい殻」にも似たプロテスタント的ペシミズム。とてもじゃないが「おさと自慢」映画にはなり得ない、ハイレベルな映画でした。クレジットも全部ウェールズ語なので何が何やらわかりませんが、制作にBBCが関わったことは確かなようです。【マン】 これには原作があります。ウェールズの国民的詩人、カラードグ・プリチャードが書いた「Un Nos Ola Leuad」。1961年の作品ですが、英訳されたのはようやく1995年になってから。英語の題は「One Moonlit Night」といいます。映画の邦題の「ワン・フルムーン」というのは、ちょっと意味がよくわかりませんね。映画は、例によって原作とはかなり違います。雰囲気は似たものを醸し出していますが、あの満月に象徴される冴え冴えとした感じが印象に残りすぎる感じですし、話の流れにもちょっと不自然な(というか、よくわからない)ところがあります。原作の舞台は、採石産業で細々と成り立っているウェールズの寒村で、広い世界から取り残されて頽廃し、そこに住む村人にも精神を病むものが多くいます。映画では、母親が犯されて精神がおかしくなるように描かれていますが、そう単純な物語ではありません。少年が少女を殺すにいたる状況も、映画ではいまいち描き切れていないように思います。【土屋政雄】 ウェールズの山 The Englishman Who Went Up a Hill, but Came Down a Mountain ![]() ![]() ![]() 1995年 イギリス 99分 クリストファー・モンガー監督 ヒュー・グラント タラ・フィッツジェラルド コルム・ミーニー イアン・マクニース イアン・ハート ケネス・グリフィス テューダー・ヴォーン ヒュー・ヴォーン 第一次大戦中のウェールズ南部が舞台のオフビート・ドラマ。「イギリス人」の測量技師が村自慢の山の標高を測ったら、地図に山として載せる高さに足らない。自分らの民族が古来ローマ人、アングロ・サクソン人、ノルマン人の侵略から守られてきたのは山があったからだ、山がなければウェールズとはいえない、自分らは「イギリス人」になってしまう、そんなことになってたまるか、というわけで村は大騒動。ウェールズ人の郷土愛物語にしてはあまりに極端と思ったが、朝日ジャーナル編『世界のことば』(朝日選書)の中のC・W・ニコルが担当執筆した「ウェールズ語」のページを読むと、愛国精神剥き出しでその激しいこと映画以上だ。【マン】 ポチン(密造酒) Poitin ![]() ![]() ![]() 1977年 アイルランド 65分 ゲール語 ボブ・クィン監督 シリル・キューザック ニール・トビン ドナル・マッキャン シネ・ゲール製作のゲール語映画。アイルランド西部のコネマラ地方の湿原を舞台に、娘とふたり細々と暮らす老人が密造する闇酒を巡って、ふたりの流れ者、警官、そしてくだんの父娘が欲深き業をあらわにする、ネオ・レアリズモ風不条理劇。スコットランドでもアイルランドでもウィスキーに課税が始まって以来、官憲と闇酒造りの闘いは絶えることなく続いた。ポチーン(ポチン)とはゲール語で小さい蒸留釜を意味し、じゃがいもなどの雑穀を材料に密造された蒸留酒そのものの隠語となった。アイルランドではバンラティのただ一社、輸出用に限って「ポチーン」の名での酒造りを許されていた。別名を"Irish Moonshine"と呼んで、アイルランドに格別の郷愁を求めるアメリカ人観光客に、シャノン空港免税店で買える土産として親しまれた。ポチーンの製造販売がアイルランド国内でも正式に解禁になったのは1997年3月のこと。【マン】 ハメルンの笛吹き The Pied Piper / Le Joueur de Flute 1971年 イギリス 90分 ジャック・ドゥミ監督 ドノヴァン音楽・主演 ドナルド・プレザンス キャスリン・ハリソン マイケル・ホーダーン ジャック・ワイルド ダイアナ・ドース ジョン・ハート ドイツの伝説に基づくファミリー向きメルヘン映画。ドノヴァンはそのサイケデリックな曲作りで1960年代後半のポップス・ロック界に少なからぬ影響を与えたグラスゴー生まれのシンガー・ソングライターで、ビートルズとも深い交流があり、ご多分に漏れずドラッグをやっていた(良い子は真似してはいけません)。若い人には女優アイオン・スカイと俳優ドノヴァン・リーチの父だと紹介しておこう。【マン】 愛と哀しみの旅路 Come See the Paradise ![]() 1990年 アメリカ 138分 R アラン・パーカー監督 デニス・クェイド タムリン・トミタ サブ・シモノ シズコ・ホシ スタン・エギ ロナルド・ヤマモト アケミ・ニシノ ナオミ・ナカノ ブラディ・ツルタニ プルイット・テイラー・ヴィンス コルム・ミーニー 真珠湾攻撃から2か月後の1942年、ルーズベルト大統領は西海岸に住む日系人12万人(その3分の2はアメリカ生まれのアメリカ国籍)を逮捕・強制収容して最長3年半に及んだ。ドイツ系・イタリア系についても同様の措置が検討されたが実行されなかった。当のアメリカでも知る人の少ないこの史実を知らせるのが映画の意図らしいが、ここではタムリン・トミタと結婚するデニス・クェイドもまたアイルランドから新しく入って来た移民で、ニューヨークでは労働組合の活動家だったが、妥協しない態度が煙たがられて追い出され、ロサンゼルスに流れて来るという導入部を紹介したい。彼の兄の役にコルム・ミーニー。デニス・クェイドがタムリン・トミタに「アイルランド人は歌がうまいはずなのに」とからかわれる場面がある。【マン】 果てなき船路 The Long Voyage Home ![]() 1940年 アメリカ 105分 ジョン・フォード監督 ジョン・ウェイン トーマス・ミッチェル イアン・ハンター バリー・フィッツジェラルド ウォード・ボンド ウィルフレッド・ローソン ミルドレッド・ナットウィック ジョン・クォーレン アーサー・シールズ ジョゼフ・ソーヤー J・M・ケリガン 英仏がドイツに宣戦布告して間もない頃に作られた映画で、ドイツ人を悪く言うセリフが多い。火薬を満載してアメリカからイギリスに向かう丸腰の輸送船グレン・ケアン号。嵐、戦闘海域の通過、水夫どうしで敵国ドイツのスパイと疑ってのリンチ騒ぎなど、苦難続きの航海で、水夫達は陸での生活に憧れ、上陸したらもう二度と船には乗らないと口にしながらも、海に戻るしか行き場のない、故郷なき男達の悲劇。アイルランド人水夫役のバリー・フィッツジェラルドがしきりにアイルランドの歌を歌ったり酒場でアイリッシュ・ウィスキーを注文したりするが、ジョン・フォードの趣味であって必然性があるとは思えない。ここでのジョン・ウェインは珍しくアイルランド人ではなくスウェーデン人水夫の役。【マン】 マクマレン兄弟 (ビデオ題:ブラザー・マクマレン) The Brothers McMullen ![]() ![]() 1995年 アメリカ 97分 エドワード・J・バーンズ監督・主演 ジャック・マルカヒー マイク・マッグロウン シャリ・アルバート マクシーヌ・バーンズ コニー・ブリトン ジェニファー・ジョスティン エリザベス・P・マッケイ キャサリン・ボルズ ウディ・アレンのアイリッシュ版とでもいいたくなるようなニューヨーク派、エドワード・バーンズのデビュー作。ブルックリンを舞台に、セルフ・ポートレイトとして描かれたのは「アイルランド系アメリカ人」ではなく「アメリカ生まれのアイルランド人」だ。いつもアイルランドTシャツを着、部屋にはアイルランド国旗を飾り、女の子にはクラダー・リング(ハートと王冠を両側から2本の手が支える友愛のシンボルを象ったアイルランド伝統の指輪)をプレゼントし、「コンビーフとキャベツ」をよく食べる(「デビル」のブラッド・ピットは、アイルランドでそんなもの食べたことがないと言うのだが)。アイルランド系ではない女性と恋愛はしても、結婚に至る深い関係には踏み込めずに躊躇する。女から見ればまさに男の身勝手なのだが、彼自身、アイルランド系としてのアイデンティティとカトリックの厳格な倫理観を口実にして逃げ道を作ろうとする自分自身の不誠実さに気付き、見つめているのだ。【マン】 華麗なるギャツビー The Great Gatsby ![]() 1974年 アメリカ 144分 ジャック・クレイトン監督 ロバート・レッドフォード ミア・ファロウ ブルース・ダーン カレン・ブラック スコット・ウィルソン サム・ウォーターストン ロイス・チャイルズ ハワード・ダ・シルヴァ エドワード・ヘルマン パッツィ・ケンジット アイルランド系作家スコット・フィッツジェラルドの原作を私は読んでおらずコメントする資格はないのだが「ファッショナブルな色彩を濃くするためか、フィッツジェラルドの小説の通俗的な部分ばかりが強調され、芯のないラブ・ストーリーになってしまっている」という『ぴあシネマクラブ洋画編1997-1998』の批評は多分当たっているのだろう。だが金をかけてていねいに作ってあるだけにけなすほどひどくもない。特にカレン・ブラックの肉食獣的な顔(死に顔まで大熱演)が、1920年代のアメリカ上流社会の仮面を剥いだ中身を見せてくれる。ニューヨーク近郊で夜ごと贅沢なパーティを開く謎の大富豪ギャツビー。最後に父親だというアイルランド訛のみすぼらしい老人が現われて彼の遺体を引き取るまで。本来は一代の成り上がり物語だったのだろう。脚本はフランシス・フォード・コッポラ。【マン】
![]()
|
IRISH-ON-FILM INDEX WHAT'S NEW(トップページ)
日本語タイトル・インデックス
英語他タイトル・インデックス
|