IRISH-ON-FILM INDEX


ヒア・マイ・ソング Hear My Song
1991年 アメリカ、イギリス 105分 R
ピーター・チェルソム監督 ネッド・ビーティ エイドリアン・ダンバー シャーリー・アン・フィールド タラ・フィッツジェラルド デヴィッド・マッカラム ウィリアム・フットキンズ ハロルド・ベレンズ ジェームズ・ネスビット

コンサート・プロモーターである青年ミッキーは、脱税の罪で国外逃亡している幻のオペラ歌手の復活コンサートを計画するが、歌手は偽者のサギ師であった。仕事も恋人も失った青年は、名誉挽回のため本物のオペラ歌手を探して故郷アイルランドへと向かう。ひとりよがりでお調子者のミッキーが、人生で大切なものをみつけていく成長の物語です。ミッキーがさすらうアイルランドの風景がとても美しい。でも何といっても見所は、こんなのありー!?というような口あんぐりのラスト15分間でしょう! さわやかな感動にひたれる小品です。歌手をしつこく追いかける警官になつかしのイリヤ・クリヤキンじゃなかった、デビッド・マッカラムが扮しています。ヒロイン役のタラ・フィッツジェラルドは「ウェールズの山」でもヒロインを演じていますが本作でデビューしました。【竹内喜代子】

アイルランド出身のオペラ歌手というと真っ先に思い出されるのはジョン・マコーマック(野村さんの音楽コーナー参照)だが、映画ではネッド・ビーティが演じるジョセフ・ロックも実在のアイルランド人で、ステージ歌手として根強い人気があったそうだ。映画はリヴァプールのアイルランド系社会を背景としている。【マン】


瞳が忘れない ブリンク Blink
1994年 アメリカ 106分 R
マイケル・アプテッド監督 マデリーン・ストウ エイダン・クィン ローリー・メトカーフ ジェームズ・レマー ピーター・フリードマン ブルース・A・ヤング マット・ロス ポール・ディロン

マデリーン・ストウ演ずる角膜移植手術を受けたばかりの盲目の女性が、殺人鬼につけねらわれるサスペンスです。ヒロインがアイリッシュ系かはよくわかんないのですが、アイリッシュ・フォーク・バンドに所属しているという設定で、ライブハウスで演奏する印象的なシーンがあります。彼女が所属する"ドローヴァーズ"というアイリッシュ・フォーク・バンドは実在するそうです。(今でもあるのか?) ヒロインを救う刑事役のエイダン・クインのワイルドかつお茶目な魅力が全開です。【竹内喜代子】


世界の涯てに 天涯海角/Lost and Found
1996年 香港 101分 広東語
リー・チーガイ監督 金城武 ケリー・チャン マイケル・ウォン

ヒロインは白血病を患っており、イギリス人の船員から聞いた"スコットランドの沖には死者の魂が帰ってゆく世界の涯てと呼ばれる場所がある"ということばに感銘を受けて、船員を追ってスコットランドへ旅立つという設定。ヒロインに資生堂のCMに出演しているケリー・チャン、ヒロインを追ってスコットランドまで行く青年に大ブレイク中の金城武。この金城くんが超ラブリー、超キュート!おすすめの1本です。香港映画でスコットランドまで行ってしまうというのも珍しいのでは?イギリス人の船員が観光客相手にバグパイプを吹いて土地の少女が踊るというシーンもあります。【竹内喜代子】

香港人の移住先の人気ナンバー・ワンは伝統的にカナダだそうですが、スコットランドにも何がしかの憧れがあるのでしょうか。【マン】

以下に続くうわさ話の中に出てくる他サイトのURLは全て、リンクの設定をしてありませんからご自分で入力してください。また掲載してから年月が経っているので、すでに有効でなくなったURLもあるかと思います。悪しからずご了解ください。

(1999/3/16)はじめまして。こちらのサイトを見つけて思わずメール差し上げてしまいました。どうしても教えていただきたいことがあるのです。金城武主演、リー・チーガイ監督の1996年香港映画「世界の涯てに」。この映画の最後に主人公のふたりが出会う場所がスコットランドのセント・キルダ島。ストーリーの上ではそうなってるのですが、実際のこのシーンのロケ地はセント・キルダ島ではないらしいのです。(といううわさがあるのです。)セント・キルダ島でロケが行われたというのは事実のようなのですが、このラストシーンに限ってはどうも違うらしくて。このラストシーンの島はいったいスコットランドのどの島なのか。もしやご存じのかたがいらっしゃいましたら、お教えいただけませんでしょうか。金城武や映画関連のわんさとあるサイトをあっちこっちさまよってみたのですが、セント・キルダという名前すらなかなかヒットしないのです。(世界遺産関連へ行ってしまう。)どうしても知りたい…。映画の場面を見ただけで、「ああ、ここはなんとか島やん」なんてわかってしまうようなスコットランドの島関係に異常に詳しい断崖フェチのかた、あるいは金城武とスコットランドの両方に強力なリンクをお持ちのかた、どこかにいらっしゃらないでしょうか…。ぜひ、お教えください。よろしくお願いいたします。大阪在住【YOKO】

(1999/3/28)ご無沙汰しておりますS杉山です。いやあついに来てしまいましたか「断崖フェチ」への依頼が!俺もうあの角度見ただけで心臓が高鳴っちゃってもう....っているわけないでしょうそんなの!そんなフェチいないぞー! さて、結論から先に言うとスンマセン分かりません。ただし現在も捜索中です。あのシーンで出てきた岸壁は浸食されて塔の様に残った「塔岩・Sea Stacks」(というのだそうです)が特徴的ですが、あの手のランドスケープはスコットランドにはもの凄く沢山あって、一番有名なのはオークニー島にある「Old man of Hoy」。しかし映画に出てきたのとは形状が若干違う。実はセント・キルダ島にも塔岩は沢山あるのですがわざわざ大勢の島民役を無人になっているセント・キルダまで連れて行ったとは思えないので、おそらくセント・キルダ島にも近いスカイ島にある塔岩のどれかだと思われます。もしくはアイルランド側の塔岩かもしれない。ひきつづき探索しますので長い目で見てやってください。ではまた。見つかったらお知らせします。ご参考 http://www.lbell.demon.co.uk/guides/stacks/index.html【S杉山】

(1999/4/2)こんにちは。金城武主演、リー・チーガイ監督の「世界の涯てに」のロケ地についての質問を差し上げましたYOKOです。さっそくですが、11月2日付けで質問を寄せていらっしゃる【ぴょんちゃん】さんの文章の中に、ご主人が“「世界のはてに」のダンカンスピン岬に行った”との記述がありますが、これは、もしかしてもしかしたら私の質問の答えなのでしょうか?それとも他の同タイトルの映画のハナシなのですか?ダンカンスピン岬とは、DUNCANSBY HEADのことだと思うのですが、確かに夫婦岩のようなふたつのスタックがあるので有名なところです。でもスコットランドには、このようなスタックのある断崖の島やら岬やらがわんさとあるようなので、いったい、どこがあのラストシーンの象徴的なスタックのある場所なのかが、どうしてもわからなかったんです。どのようにして、ここがロケ地だとお知りになったんでしょうか。そのあたりのことなど、詳しくお聞きできたら…と思うのですが。【ぴょんちゃん】さん、教えて下さい!!【YOKO】

(1999/4/16)こんにちは。「断崖問題」でひつこくお騒がせしております。 S杉山さん、ご協力ありがとうございます。とっても心強いです。なんだか非常にスタック関係にお詳しいようですね。ところで現在発売中の「クレア」5月号に「映画でめぐる世界遺産」という特集記事があり、『世界の涯てに』について以下のような記述がありました。“映画では空撮によるダイナミックな景観が見渡せ、その中に映る断崖がイギリスで最も高度が高いコナチェア断崖(セントキルダ諸島、ヒルタ島。)”とりあえずこの情報がほんとなのかどうか、どうにかして調べたいなあと思ってます。S杉山さんにご紹介いただいたUKのサイトでは、ヒルタ島の5つのスタックが紹介されています。(…と思います。なにせ英語なので。)写真がないのでわかりませんが、映画に出てくるあのスタックは、この中のどれかということになるのでしょうか。うーん、写真が見たい。どこかにないかしら…「クレア」では映画の場面を転載しているだけでした。他の世界遺産の写真は豊富に掲載されているのですが…。やはりセントキルダに関しては資料が少ないようです。でも、めげずに追求していきますので、もし情報がありましたら S杉山さん、みなさん、よろしくお願いします。【YOKO】

(1999/4/17)「...ああっ、登りたい...。」って、うそうそ!(ヤバイヤバイ)S杉山です。でも英国にゃあ本当にあちこちのスタックに通いつめて登ってる奴いるんですね〜。世間は広い。で本題。例の断崖ですが、ちょっとビデオ借りて写真撮って何人かのスコットランド人に聞いたんですが知らないんですよみんな。「おまえそんなの趣味なの?」と奇異な目で見られたりして。でもあちこちのHPをウロウロしている間に、あの海側にナイフの刃を向けた様な独特なスタックで、ビデオと見比べ「おそらくここに間違いない!」というのを見つけました。場所はスコットランド北西、Ullapoolの上の方にある村・Stoerの近く。「Old man of Stoer」と呼ばれるスタックです。HPをご紹介しますので確認してみてください。ではまた。【S杉山】
http://www.cyber.rdg.ac.uk/G.Foster/WWW/stoer.htm
http://www.b-mercer.demon.co.uk/stoer.htm
http://roth1.orch.ruhr-uni-bochum.de/~rekowski/scotpic.html
http://www.lbell.demon.co.uk/guides/stacks/pages/stack14.html#oldmanofstoer

(1999/5/6) こんにちは。もう少しだけ「断崖問題」におつき合いください。 S杉山さん、ほんとにありがとうございます。ご紹介いただいたHPをどきどきしつつ訪れ、そして見ました。「Old man of Stoer」を。私もこれに間違いないと思います。確信しました。やはりセントキルダじゃなかったんですね。見つけられなかった私の検索能力の無さは問題外としても、 S杉山さん!どこのどなたか存じませんが、どうしてそんなにスコットランドおよびスタック関連にお詳しいのですか?そしてあっというまに見つけてしまうなんて、やっぱりひょっとして断崖フェチ…。今や私の関心は「S杉山さんとはいったい何者?」という新たなテーマに向かいつつあります。(でもこのテーマを追求するのは、スタック探すより難しいかも…)とにかく、あとは現場へ行ってこの目で確かめるだけです。セントキルダと違って、ここなら車と歩きで行けそうですし。 S杉山さん、みなさん、どうもありがとうございました。スタックを巡るスコットランドの旅が実現したら、またレポートさせていただきます。【YOKO】

(1999/5/8)あれなかなかスペクタクルですよねえ。どうも私が見つけたのとは違う場所みたいな雑誌情報ですがウ〜ン....。こうなりゃトコトン突き止める気でいます。第二段階としてColin Dexterという有名な写真家があの辺りを撮った絵葉書(!金城武がもってた奴?)だか写真集だかがあるらしいので今、入手手配しています。乞ご期待!【S杉山】

(1999/5/16)謎のスコキチ(笑)S杉山です。さてちょっとしつこいけど断崖問題、最後ですんで(俺本当に好きになっちゃったのかなあ)お許しを。例の有名な写真家はDexterではなくBaxter (Colin Dexterってのは推理作家)でした。彼のコナチェア断崖を撮った写真集をチェックした結果、ご報告します。1. 写真集ではコナチェア付近にあのカタチのスタックは見当たらなかった。2. ポストカードにあったセントキルダのヒルタ島付近の有名なスタックはもっとずんぐりとしたカタチ。3. あの映画の断崖は東京タワーより低そうだったがコナチェア岸壁は海抜427m。また、例のスタックガイドによれば、コナチェア岸壁があるヒルタ島と近くのスタックとは船で行かねばダメみたいな距離があるし、そのヒルタ島も「...ヒルタ島のビレッジベイには霧、風、波がひどくなければ上陸できる。ダン島がベイのシェルターになっている限りは大丈夫だが、スタックへ行くためには静かな海が不可欠である。天候のためヒルタ島で孤立状態になるのは多いに有り得ることなので、非常用食料を持ってゆくべし。」となっています。何だかコナチェア付近では撮影難しそうです。以上の拙い調査の結果ですが、やっぱりあのスタックはコナチェア付近ではなくOld man of Stoerだったと個人的に決定させて頂きます。いやぁ良かった良かったハハハハハ。この達成感は初めてスタック登頂に成功した時以来ですなあワハハハハ(あっしまった!つい調子に乗ってしまった!)スタック巡りの旅レポートも期待してます(いいなあ)。フォローですがコナチェアも絶景でした。ではまた。【S杉山】

(1999/5/22)こんにちは。まだゆうとんのかい!とおっしゃらず、断崖ネタをお許しください。“謎のスコキチ”(!?)S杉山さん、私がクレアの“がせ情報”をお知らせしたばっかりに、さらなる追跡調査をしていただくことになってしまい、たいへんお世話をおかけいたしました。しかし、これで確信がさらに深まりました。もう誰がなんと言ってもOld man of Stoerです。もう惑わされることはありません。ところでそのColin Baxterのコナチェア断崖を撮った写真集というもの見てみたい…。書名などをお教えいただけるとうれしいのですが(…と、さらなるお願いをしてしまったりして)。というわけでまたまたありがとうございました。また何か新たな謎に遭遇しましたら、おすがりするかもしれませんが、その時はよろしくお願いします。それではまた…。【YOKO】

(1999/6/10)【YOKO】さんへ。例のColin Baxterの写真集はhttp:// www.users.zetnet.co.uk/colin_baxter/books/islandguides/island_f.htmで見てください。【S杉山】

(1999/12/14)最近になって「うわさ話」のコーナーを読んで1999年の春に「世界の涯てに」のことが話題になっていたことを知りました。私自身はこの映画は見ていませんが、この映画を見た人からメールを貰って知りました。セント・キルダのことで教えて貰いました。その方が、最後に出てくるスタンディング・ストーンズの話をされていたのですが、あの近くにあると言えばカラネイス(英語ではカラニッシュ)しか思い浮かばなかったのです。それで「うわさ話」を読んだところでピナクル(奇岩)であることを知りました。スタンディング・ストーンズのような人工物ではなかったのですね。それで出てくるのが"Old Man of Stoer"とありましたが、スカイ島にある"The Old Man of Storr"のことなのでしょうか?私のホームページhttp://cvnweb.bai.ne.jp/~taigh/scot3.htmのスカイ島編)に写真を載せています。できれば確認して彼女に教えてあげたいのですが・・・ついでにセント・キルダの写真もアウタ・ヘブリデスのノース・ユイスト島から撮ったものがあります。(http://cvnweb.bai.ne.jp/~taigh/scot33.htm) 肉眼では綺麗に見えていましたが、210mmのズームを使ってもぼやけてしまいました。雰囲気だけです。では、この辺で失礼します。【Sugako Hashimoto】

(2000/1/6)こんにちは【Sugako Hashimoto】さん。断崖評論家の【S杉山】です(~_^;)。ご質問については1999年4月頃のこのうわさ話でレポートしましたが、もう一度。場所はスコットランド北西、Ullapoolの上の方にある村・Stoerの近く。「Old man of Stoer」と呼ばれるスタックです。HPをご紹介しますので確認してみてください。ではまた。
http://www.cyber.rdg.ac.uk/G.Foster/WWW/stoer.htm
http://www.b-mercer.demon.co.uk/stoer.htm
http://roth1.orch.ruhr-uni-bochum.de/~rekowski/scotpic.html
http://www.lbell.demon.co.uk/guides/stacks/pages/stack14.html#oldmanofstoer
ああ、ここにまだHPがあるかどうかは未確認です。あしからず。そちらのHPを見ましたがどうも違う岩の様でしたよ。映画をご覧になったらより確実に判断できるのでは?ではまた。【S杉山】

(2000/11/29) ごぶさたしています。昨年『世界の涯てに』の断崖問題でお世話になった【YOKO】です。実はその後、哀しいことに私は結局行けなかったのですが、私の友人がついにスコットランドへと旅立ち、あの「Old man of Stoer」をその目で確認してきました。道なき道を悪天候の中進む、決死のトレッキングとなったようですが、霧の向こうにその姿を認めた時の感動といったら…(って、私は行ってない…。)断崖にたたきつける突風の中、友人が命がけで撮影してきた写真を見ましたが、間違いなく映画に登場したあのスタックでした。真実をつきとめてくださった断崖評論家の【S杉山】さん、ありがとうございました。【Sugako Hashimoto】さんがお尋ねになってた(もう1年近くも前ですが…)映画の中のあのスタックはスカイ島のではなくて、Stoer村の近くの「Old man of Stoer」ですよ。断崖フェチ…いえ、評論家の【S杉山】さんのおっしゃることに間違いはございません。ご報告がたいへん遅くなりましたが。それではまた。【YOKO】

(2001/2/25) 断崖問題ご返事遅れました。私もまだ滑落遭難せずに生きております。レポートを見てちょっと嬉しかったです。私もいつか登りに、もといトレッキングに行きたいものです。また Kurihallan さん、古い映画ですがさすがですねえ。東南アジアですか。ちょっと探してみます。あっちにもけっこう変なスタックあるんですよねえ(笑)。【S杉山】


羊たちの沈黙 The Silence of the Lamb
1991年 アメリカ 118分 R
ジョナサン・デミ監督 ジョディ・フォスター アンソニー・ホプキンズ スコット・グレン テッド・レヴァイン アンソニー・ヒールド ブルック・スミス ダイアン・ベイカー キャシー・レモンズ チャールズ・ナピエール トレイシー・ウォルター ロジャー・コーマン クリス・アイザック

アイルランド系アメリカ人の出世頭といえばJ・F・ケネディ大統領だ。1997年4月5日付け朝日新聞夕刊の「村松増美のとっておきの話」というコラム(連載第1回)に(1962年日米貿易経済委員会で訪米した田中角栄蔵相に、ケネディ大統領が)「"Mr. Finance Minister"と、突然田中蔵相に語りかけた。『ミシュタ・ファイナンシュ・ミニシュター』のように、Sの発音の時、歯の間から空気がもれるような、ボストンなまりの英語が、今も耳に残っている。」それで思い出したのがこの映画でジョディ・フォスターが演じたFBI訓練生の訛った英語だった。【マン】


ブルックリン横丁 A Tree Grows in Brooklyn
1945年 アメリカ 128分
エリア・カザン監督 ドロシー・マクガイア ジョーン・ブロンデル ジェームズ・ダン ロイド・ノーラン ペギー・アン・ガーナー テッド・ドナルドソン ジェームズ・グリーソン ルース・ネルソン ジョン・アレグザンダー

ブルックリンには1960年代まで海軍造船工場があり、そこで働く労働者にはアイルランド系が多かった。またブルックリンは野球のドジャーズのホームタウン、トロリー電車の走る町だった。プロレタリア演劇出身のエリア・カザン(自身はイスタンブールからの移民)の長編映画第1作は、20世紀初頭のブルックリンを舞台にアイルランド系の文学少女フランシー・ノーランと貧しいその一家の物語だ。「モリー・マローン」や「アニー・ローリー」といった歌を愛し(野村さんの音楽コーナー参照)、酒飲みで夢想家のパパは給仕の仕事をサボりがち、ママが一家をしょって立つ。とはいえ当時の映画のことだからドロシー・マクガイアはいかにもハリウッド女優然としていて、貧乏暮らしに疲れたアイリッシュのおかみさんのリアリティはまるでない。途中でパパが死に物語は悲惨な展開になるのだが、これまたアイルランド系のおまわりさんが救いの天使のごとく現われて、最後はハッピーエンド。1950年代になって非米活動委員会の喚問(赤狩り)に遭った時、カザンはこの作品の意図について「物質的な意味ではなく精神においてアメリカを栄光化したもの」と弁明した。パパ役でアカデミー助演男優賞を得たジェームズ・ダンはボードヴィル出身で、実生活でも酒のせいで不遇の身だった。【マン】


我が道を往く Going My Way
1944年 アメリカ 126分
レオ・マッキャリー監督 ビング・クロスビー バリー・フィッツジェラルド リーゼ・スティーヴンズ フランク・マクヒュー ジェームズ・ブラウン ジーン・ヘザー ポーター・ホール フォートゥニーノ・ボナノヴァ スタンリー・クレメンツ カール・スウィッツァー

アイルランド系アメリカ人の出世頭はJFKだが、芸能界に限って言えばアメリカの歌声と称されたビング・クロスビーだろう。ミュージカルではないが歌声をたっぷり聞かせるこの映画で彼はアカデミー主演男優賞を取り、その他各賞を独占した心暖まる映画だ。舞台はニューヨーク、財政難のカトリック教会に赴任した若いオマリー神父が、不良少年達(リーダー格はイタリア系)を手なずけて合唱団を作り、老司祭を助けて教会を建て直す。「トゥラルラ(アイルランドの子守歌)」を奏でるオルゴールの中に、老司祭の故郷アイルランドに住む90歳の母が送ってくれたウィスキーの瓶が隠してあるのが微笑ましい。翌年続編として「聖メリーの鐘」が作られた。この映画でもビング・クロスビーは赴任当初、教区の住民にいびられるし、「お葬式だよ全員集合!」の若い神父や「スリーパーズ」のロバート・デ・ニーロの神父などを見ても、カトリックの信仰篤いと言われるアイルランド系アメリカ人が神父を尊敬しているとは思えないシーンに出くわすことが多い。イギリスによるカトリック教会のヴァチカンからの切り離しと徹底的な破壊を経験してアメリカに渡って来たアイルランド人は、カトリックとは言ってもヴァチカンに統合されるいわゆるカトリックとは少し違う道を歩んだらしい。入植の初期には彼らは「聖職者からの管理をあまり受けていなかったために、信徒は、アメリカにおけるプロテスタントのパターンに倣って、教会財産の運用に限らず聖職者の任命に関してまで、かなりの決定権を行使していた」(柴田史子「移民の宗教」;井門富士夫編『アメリカの宗教』よりの引用)。現在のアメリカのカトリック教会は当然ヴァチカンの権威を受け入れているはずだが、教区信者の意識はいかがなものか、映画を見て想像するのも面白い。【マン】


聖メリーの鐘 The Bells of St. Mary's
1945年 アメリカ 126分
レオ・マッキャリー監督 ビング・クロスビー イングリッド・バーグマン ヘンリー・トレヴァーズ ウィリアム・ガーガン ルース・ドネリー ジョーン・キャロル マーサ・スリーパー リス・ウィリアムズ

我が道を往く」の続編。ビング・クロスビー演ずるオマリー神父は今度はイングリッド・バーグマンの尼僧院長を助けて教区学校を救う。オマリー神父の他に、院長補佐の尼僧がアイルランド生まれ、また娘を寄宿舎に預ける問題家庭がアイリッシュ姓のギャラガーというなど、アイリッシュを使ってはいるが、バーグマンがスウェーデン生まれということもあり、前作に比べてアイリッシュ度数は格段に低い。クリスマス会で幼児達が自主的に演じるキリスト生誕物語が見もの。【マン】


ワン・フルムーン Un Nos Ola Leuad
1991年 イギリス 97分 ウェールズ語
エンダブ・エムリン監督 ダーバン・ロバーツ ティディール・ロバーツ ベツァン・フイド デリス・エイニール キアン・カイラン ディルウィン・ヴォーン・トマス

Q:『ワン・フルムーン』という映画をご存じでしょうか。これが、どこの国を舞台にした映画かを知りたいのです。この映画を好きだという友達に、『アイルランドかもしれないから見てみて、そして教えてよ』といわれて見たのですが、お手上げでした。風景や文化的には、いかにもイギリスっぽいのですが、言語は英語ではない。発音はフランス語に少し似てなくはないけど、違う。では、アイルランドで、言葉はゲール語なのか? でも違う気がする。じゃあ、イギリスの中に、英語を公用語としない地方があるのか???学校教育で英語を教えてるシーンなんかはあるんですがね。なお、制作はイギリスと明記してありました。また、フィルムをFFILMと表記してあったのを記憶しています。ちなみに、その映画は、『罪を許す』というようなキリスト教的なテーマが根底にあり、どちらかというと重い話ですが、映像と音楽が美しいです。【都】

A:私も初耳です。手許の「ぴあシネマクラブ洋画編1997-1998」しか資料がないのですが、たしかにイギリス映画と書いてあるけれど、原題「Un nos ola leuad」とスタッフ・キャストの独特な名前から想像するに、ウェールズ映画です。1970年代以降のエスニック回復運動、ケルト・リバイバルの流れで、ウェールズ地方はケルト系言語のウェールズ語を復活させ、放送、学校教育など公的にウェールズ語の使用が実施されているのですから、外国への広報宣伝にもなるウェールズ語映画があってあたりまえですよね。【マン】

追伸:【都】さんに教えていただいたレンタル・ビデオを見ました。C・W・ニコルの子供時代を想像させるような少年が主人公ですが、フィリップ・リドリー監督のイギリス映画「柔らかい殻」にも似たプロテスタント的ペシミズム。とてもじゃないが「おさと自慢」映画にはなり得ない、ハイレベルな映画でした。クレジットも全部ウェールズ語なので何が何やらわかりませんが、制作にBBCが関わったことは確かなようです。【マン】

これには原作があります。ウェールズの国民的詩人、カラードグ・プリチャードが書いた「Un Nos Ola Leuad」。1961年の作品ですが、英訳されたのはようやく1995年になってから。英語の題は「One Moonlit Night」といいます。映画の邦題の「ワン・フルムーン」というのは、ちょっと意味がよくわかりませんね。映画は、例によって原作とはかなり違います。雰囲気は似たものを醸し出していますが、あの満月に象徴される冴え冴えとした感じが印象に残りすぎる感じですし、話の流れにもちょっと不自然な(というか、よくわからない)ところがあります。原作の舞台は、採石産業で細々と成り立っているウェールズの寒村で、広い世界から取り残されて頽廃し、そこに住む村人にも精神を病むものが多くいます。映画では、母親が犯されて精神がおかしくなるように描かれていますが、そう単純な物語ではありません。少年が少女を殺すにいたる状況も、映画ではいまいち描き切れていないように思います。【土屋政雄】


ウェールズの山 The Englishman Who Went Up a Hill, but Came Down a Mountain
1995年 イギリス 99分
クリストファー・モンガー監督 ヒュー・グラント タラ・フィッツジェラルド コルム・ミーニー イアン・マクニース イアン・ハート ケネス・グリフィス テューダー・ヴォーン ヒュー・ヴォーン

第一次大戦中のウェールズ南部が舞台のオフビート・ドラマ。「イギリス人」の測量技師が村自慢の山の標高を測ったら、地図に山として載せる高さに足らない。自分らの民族が古来ローマ人、アングロ・サクソン人、ノルマン人の侵略から守られてきたのは山があったからだ、山がなければウェールズとはいえない、自分らは「イギリス人」になってしまう、そんなことになってたまるか、というわけで村は大騒動。ウェールズ人の郷土愛物語にしてはあまりに極端と思ったが、朝日ジャーナル編『世界のことば』(朝日選書)の中のC・W・ニコルが担当執筆した「ウェールズ語」のページを読むと、愛国精神剥き出しでその激しいこと映画以上だ。【マン】


ポチン(密造酒) Poitin
1977年 アイルランド 65分 ゲール語
ボブ・クィン監督 シリル・キューザック ニール・トビン ドナル・マッキャン

シネ・ゲール製作のゲール語映画。アイルランド西部のコネマラ地方の湿原を舞台に、娘とふたり細々と暮らす老人が密造する闇酒を巡って、ふたりの流れ者、警官、そしてくだんの父娘が欲深き業をあらわにする、ネオ・レアリズモ風不条理劇。スコットランドでもアイルランドでもウィスキーに課税が始まって以来、官憲と闇酒造りの闘いは絶えることなく続いた。ポチーン(ポチン)とはゲール語で小さい蒸留釜を意味し、じゃがいもなどの雑穀を材料に密造された蒸留酒そのものの隠語となった。アイルランドではバンラティのただ一社、輸出用に限って「ポチーン」の名での酒造りを許されていた。別名を"Irish Moonshine"と呼んで、アイルランドに格別の郷愁を求めるアメリカ人観光客に、シャノン空港免税店で買える土産として親しまれた。ポチーンの製造販売がアイルランド国内でも正式に解禁になったのは1997年3月のこと。【マン】


ハメルンの笛吹き The Pied Piper / Le Joueur de Flute
1971年 イギリス 90分
ジャック・ドゥミ監督 ドノヴァン音楽・主演 ドナルド・プレザンス キャスリン・ハリソン マイケル・ホーダーン ジャック・ワイルド ダイアナ・ドース ジョン・ハート

ドイツの伝説に基づくファミリー向きメルヘン映画。ドノヴァンはそのサイケデリックな曲作りで1960年代後半のポップス・ロック界に少なからぬ影響を与えたグラスゴー生まれのシンガー・ソングライターで、ビートルズとも深い交流があり、ご多分に漏れずドラッグをやっていた(良い子は真似してはいけません)。若い人には女優アイオン・スカイと俳優ドノヴァン・リーチの父だと紹介しておこう。【マン】


愛と哀しみの旅路 Come See the Paradise
1990年 アメリカ 138分 R
アラン・パーカー監督 デニス・クェイド タムリン・トミタ サブ・シモノ シズコ・ホシ スタン・エギ ロナルド・ヤマモト アケミ・ニシノ ナオミ・ナカノ ブラディ・ツルタニ プルイット・テイラー・ヴィンス コルム・ミーニー

真珠湾攻撃から2か月後の1942年、ルーズベルト大統領は西海岸に住む日系人12万人(その3分の2はアメリカ生まれのアメリカ国籍)を逮捕・強制収容して最長3年半に及んだ。ドイツ系・イタリア系についても同様の措置が検討されたが実行されなかった。当のアメリカでも知る人の少ないこの史実を知らせるのが映画の意図らしいが、ここではタムリン・トミタと結婚するデニス・クェイドもまたアイルランドから新しく入って来た移民で、ニューヨークでは労働組合の活動家だったが、妥協しない態度が煙たがられて追い出され、ロサンゼルスに流れて来るという導入部を紹介したい。彼の兄の役にコルム・ミーニー。デニス・クェイドがタムリン・トミタに「アイルランド人は歌がうまいはずなのに」とからかわれる場面がある。【マン】


果てなき船路 The Long Voyage Home
1940年 アメリカ 105分
ジョン・フォード監督 ジョン・ウェイン トーマス・ミッチェル イアン・ハンター バリー・フィッツジェラルド ウォード・ボンド ウィルフレッド・ローソン ミルドレッド・ナットウィック ジョン・クォーレン アーサー・シールズ ジョゼフ・ソーヤー J・M・ケリガン

英仏がドイツに宣戦布告して間もない頃に作られた映画で、ドイツ人を悪く言うセリフが多い。火薬を満載してアメリカからイギリスに向かう丸腰の輸送船グレン・ケアン号。嵐、戦闘海域の通過、水夫どうしで敵国ドイツのスパイと疑ってのリンチ騒ぎなど、苦難続きの航海で、水夫達は陸での生活に憧れ、上陸したらもう二度と船には乗らないと口にしながらも、海に戻るしか行き場のない、故郷なき男達の悲劇。アイルランド人水夫役のバリー・フィッツジェラルドがしきりにアイルランドの歌を歌ったり酒場でアイリッシュ・ウィスキーを注文したりするが、ジョン・フォードの趣味であって必然性があるとは思えない。ここでのジョン・ウェインは珍しくアイルランド人ではなくスウェーデン人水夫の役。【マン】


マクマレン兄弟 (ビデオ題:ブラザー・マクマレン) The Brothers McMullen
1995年 アメリカ 97分
エドワード・J・バーンズ監督・主演 ジャック・マルカヒー マイク・マッグロウン シャリ・アルバート マクシーヌ・バーンズ コニー・ブリトン ジェニファー・ジョスティン エリザベス・P・マッケイ キャサリン・ボルズ

ウディ・アレンのアイリッシュ版とでもいいたくなるようなニューヨーク派、エドワード・バーンズのデビュー作。ブルックリンを舞台に、セルフ・ポートレイトとして描かれたのは「アイルランド系アメリカ人」ではなく「アメリカ生まれのアイルランド人」だ。いつもアイルランドTシャツを着、部屋にはアイルランド国旗を飾り、女の子にはクラダー・リング(ハートと王冠を両側から2本の手が支える友愛のシンボルを象ったアイルランド伝統の指輪)をプレゼントし、「コンビーフとキャベツ」をよく食べる(「デビル」のブラッド・ピットは、アイルランドでそんなもの食べたことがないと言うのだが)。アイルランド系ではない女性と恋愛はしても、結婚に至る深い関係には踏み込めずに躊躇する。女から見ればまさに男の身勝手なのだが、彼自身、アイルランド系としてのアイデンティティとカトリックの厳格な倫理観を口実にして逃げ道を作ろうとする自分自身の不誠実さに気付き、見つめているのだ。【マン】


華麗なるギャツビー The Great Gatsby
1974年 アメリカ 144分
ジャック・クレイトン監督 ロバート・レッドフォード ミア・ファロウ ブルース・ダーン カレン・ブラック スコット・ウィルソン サム・ウォーターストン ロイス・チャイルズ ハワード・ダ・シルヴァ エドワード・ヘルマン パッツィ・ケンジット

アイルランド系作家スコット・フィッツジェラルドの原作を私は読んでおらずコメントする資格はないのだが「ファッショナブルな色彩を濃くするためか、フィッツジェラルドの小説の通俗的な部分ばかりが強調され、芯のないラブ・ストーリーになってしまっている」という『ぴあシネマクラブ洋画編1997-1998』の批評は多分当たっているのだろう。だが金をかけてていねいに作ってあるだけにけなすほどひどくもない。特にカレン・ブラックの肉食獣的な顔(死に顔まで大熱演)が、1920年代のアメリカ上流社会の仮面を剥いだ中身を見せてくれる。ニューヨーク近郊で夜ごと贅沢なパーティを開く謎の大富豪ギャツビー。最後に父親だというアイルランド訛のみすぼらしい老人が現われて彼の遺体を引き取るまで。本来は一代の成り上がり物語だったのだろう。脚本はフランシス・フォード・コッポラ。【マン】


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