IRISH-ON-FILM INDEX


Rough Riders
1997年 アメリカ 240分 TV
ジョン・ミリアス監督 トム・ベレンジャー サム・エリオット ゲイリー・ビジー ブラッド・ジョンソン イリアナ・ダグラス クリス・ノス ブライアン・キース ジョージ・ハミルトン

1898年の米西戦争で、テディ・ローズヴェルト中佐やバッキー・オニール大尉が指揮した西部諸州の牧童、先住民に加え、ニューヨークの元警官、アイヴィー・リーグ出のインテリ、元フットボーラーなどからなり、のちに“荒馬乗り連隊”(ラフ・ライダーズ)と呼ばれることになる有名な第1義勇騎兵連隊のサン・ホアン・ヒル(キューバ)への白兵突撃を描いた作品。アイリッシュのバッキー・オニール率いる男たちが、例の「ゲーリー・オーエン」が歌われ、演奏される中、同騎兵連隊に加わるべく郷里を離れて行くシーンがある。【Mustey Kurihallan】


ゲティスバーグの戦い 南北戦争運命の三日間 Gettysburg
1993年 アメリカ 261分
ロナルド・F・マックスウェル監督 トム・ベレンジャー マーティン・シーン スティーヴン・ラング ジェフ・ダニエルズ リチャード・ジョーダン

1863年7月3日、ハンコック将軍指揮下の北軍に対し、ピケット将軍の南軍が、横隊で突撃を敢行する。遮蔽物に身を隠していたアイリッシュ連隊が、射程距離に入るや、アイリッシュ・ハープをあしらった連隊旗を掲げ一斉射撃を浴びせる。南北戦争時の北軍兵の3人に1人は外国生まれ。特にアイルランド系は、ドイツ系などと共に、まるごと、その民族で編成される部隊があった。【Mustey Kurihallan】


砲艦サンパブロ The Sand Pebbles
1966年 アメリカ 179分
ロバ−ト・ワイズ監督 スティーヴ・マックィーン リチャード・アッテンボロー リチャード・クレンナ キャンディス・バーゲン エマニュエル・アルサン マコ(マコ岩松)

久しぶりに同ソフトを観ていると、マコ(岩松)扮する中国人がバーで砲艦乗組員とボクシングの試合を行うシーンに、スコットランド兵が数名いたんですねェ。キルトの柄から、ブラック・ウォッチ連隊とおもうのですが…。マックイーンの最高作だと思っております。【Mustey Kurihallan】


キング・アーサー King Arthur
2004年 アメリカ、アイルランド 126分(ディレクターズカットは140分 R) 英語、ラテン語、ゲール(アイルランド)語
アントワン・フークア監督 クライヴ・オーウェン キーラ・ナイトレイ ヨアン・グリフィズ マッツ・ミケルセン ジョエル・エドガートン ヒュー・ダンシー レイ・ウィンストン レイ・スティーヴンソン スティーヴン・ディレイン ステラン・スカルスガルド イヴァノ・マレスコッティ ケン・ストット

世紀のバカ映画(失礼)「ハルマゲドン」「パール・ハーバー」のジェリー・ブラッカイマー製作なので全く期待せずに観に行ったのですが、良い意味で予想が外れました。やはり、監督の手腕でしょうか。当初、この映画は、マイケル・ベイが監督するはずだったそうですが、正直言って降りてくれて良かったと思います。個人的には「トロイ」などより断然楽しめました。ここには今までアーサー王映画で散々描かれてきた魔法、妖精、トリスタンとイゾルデ、そしてあまりにも有名なランスロットとグウィネヴィア王妃の不倫などのエピソードは全て排除、アーサーと円卓の騎士たちをファンタジーワールドの選ばれた戦士達ではなく、ローマ軍に仕える等身大の戦士たちとして描いているところが斬新で好感を覚えました。ファンタジーを期待して観にいった人には肩透かしだったかもしれませんが、私のようにローマ・フェチで、ローズマリー・サトクリフの『ともしびをかかげて』(岩波書店)に感銘を受けた者は鳥肌ものの話でありました。製作者はこの小説からインスピレーションを得たのではないかと思わせるぐらい設定とか似通っているのですが、アーサーのモデルとなった人物がいたとしたら、おそらくこのようなバックグラウンドがあったのではないかと思わせるほどの説得力がありました。また、凋落著しいローマ帝国の末期にありながら、さながらユリウス・カエサルやハンニバル戦記のローマ側司令官スキピオ・アフリカヌスを思わせるような全盛期の勇猛果敢かつ誠実なローマの司令官として描かれているのが面白いと思いました。戦闘シーンも古代の戦の兵法を踏襲していると思わせるもので、アーサーがローマ軍の司令官だったとすれば、サクソン人を圧倒するほどの戦略を練ることができたというのも納得ができるというものです。祖先がローマに組み込まれた為にそれに奉仕することを義務づけられ、ローマとブリテン2つの社会で生きざるを得ない主人公がローマの自由という理想と現実との狭間で葛藤する様も良かったです。【erin】

トーマス・マロリーが書いた『アーサー王の死』に依拠せず、中世騎士道ロマンスも聖杯探求も出てこない。ローマ帝国崩壊寸前の紀元5世紀半ばの辺境を舞台に、多少の史実を交えて新しくストーリーを構築した戦争映画。ローマ帝国に従属する東欧の遊牧民族の小国サルマティアに生まれたランスロット、トリスタン、ガウェイン、ガラハッド、ボースら(円卓の12騎士ではなく、7人の侍)は、徴兵されて帝国西端の植民地ブリタニアに送り込まれ、ブリタニア生まれだがローマ人の息子でキリスト教徒の守備隊長アルトリウス・カストゥス=アーサーの下で、呪術師マーリンに率いられ植民地を脅かすウォード(ピクト人が刺青やボディペインティングに使ったとされる青い染料が採れる植物)と呼ばれる反抗的な原住民と戦い続けて15年が経過した。アーサーはかつてブリタニア生まれの修道士ペラギウス(360〜420?人間の自由意思を強調して原罪を否定しアウグスティヌスら正統教父と論争)に師事し、自由と平等と「ローマの平和」を信じるおめでたい理想主義者だったが、面倒見が良い親分肌で部下の信望も厚かった。だがランスロットらの兵役が解除され帰郷が許されるはずだった15年め(本当はローマ軍の兵役は25年なのだが、それだとランスロット達は40歳過ぎちゃうので、映画では15年)、ローマ軍はブリタニアからの撤退を決め、最後の任務としてハドリアヌスの壁の北側に取り残されたローマ人家族の救出をアーサーに命じる。壁の向こうは既に数千のサクソン軍団が押し寄せる死地だった…。古代ブリテン伝説で有名なバドニクス山の決戦までは悲愴感漂うが、PG-13映画ゆえか腰砕けのハッピーエンド。アーサーの人物像と歴史背景を検証した本では、青山吉信著『アーサー伝説 歴史とロマンスの交錯』(岩波書店1985)が詳しく、いちおう大学で史学専攻以上レベルの専門書だが、絶版か最近は本屋にない。同書によればルキウス・アルトリウス・カストゥスという名でエブラクム(ヨーク)駐留第6軍団を率いたローマ人の実在が知られ、アルトリウスというローマでは一般的な家門名が、古代ケルト語のアルトス(熊)と通じ、英語のアーサーにも転じることから、映画もその名をアーサーに当てはめているが、アルトリウスは3世紀で時代的にも事跡的にもアーサーと同定できない。5世紀ローマ軍撤退後の混乱期にアンブロシウス・アウレリアヌスという名の、恐らくはローマ系入植者の子孫が、ブリタニア残存の兵力を掻き集めてモンス・バドニクス(ベイドン山、現在地不明)でサクソン人を撃退したという説話が、ベーダの「ブリタニア教会史」をはじめ複数のごく古い史料に書き残されているので、従来アンブロシウスをアーサーと同定する試みが多かった。だが最近の研究では、アンブロシウスはむしろアーサーの一代前ウーサー・ペンドラゴンに相当し、アーサー自身は無名のピクト人かアイルランド出身者、つまりブリトン人にとっては「外人部隊の隊長」のようなものだったとする説に落ち着くみたいだ。一方、リトルトン&マルカー著『アーサー王伝説の起源 スキタイからキャメロットへ』(青土社)という本では、3世紀にパンノニア出身のアルトリウス・カストゥスが、黒海沿岸のサルマティア人騎兵隊をブリタニア北部の防衛に導入したことを、カッシウス・ディオ(古代の歴史家)の引用やヨークシャー地方の発掘成果から史実として紹介している。映画の方に話を戻し、フークワ監督の前作で内戦のアフリカが舞台の「ティアーズ・オブ・ザ・サン」(ブルース・ウィリス主演、力作)にストーリー的には似ている。原住民の闘姫グィネヴィア(「パイレーツ・オブ・カリビア」のキーラ・ナイトレイ)、サクソン人の首領(スウェーデン出身ステラン・スカルスガルド)以外はあまり見慣れぬ顔---それも男臭い顔ばかりで私個人的には大変結構。エンディングの歌はモイヤ・ブレナン。ラテン語とケルト語(ゲール語)のセリフも混じる。『アーサー王の死』に依拠した方の20年以上前の「エクスカリバー」の制作実績を買われたか、全編アイルランドロケだが、ストーリーは興味深いのに、映像の方は---ハドリアヌス防壁の再現セットは考古学的にかなり正確みたいだが---何といっても景色が単調で退屈。同じロケ地(アイルランドのキルデア)を使った「ブレイブハート」もやっぱり景色が単調だったな。多彩な景色を繰り広げて見せてくれた「エクスカリバー」がいかに傑作だったか、ジョン・ブアマンがいかに名人だったかをつくづく思い知らされるのだ。なお「マーリン」では、アーサーの騎士伝説上の父ウーサー・ペンドラゴンが、やはりローマ軍の格好で登場してサクソン軍と戦う。【マン】

(2003/6/4)以下のニュースはまだキャストが発表されてないので……でも数多あるアーサー王ものでもちょっと発想が面白そうで。例えば王はローマ人で円卓の騎士達は実はロシア人達…とか。セットは着々とアイルランドで完成しつつある様です。場所があの「ブレイブハート」ゆかりの地(アイルランドのキルデア州)なのでちょっと興味があります。ただし製作があのハリウッドの商売人ジェリー・ブラッカイマーというのがちと気に入りませんが。また詳しい事が出たらお知らせします。おそらく言葉のせいでアイルランド系の俳優が起用されると期待してます。
「ハリウッド・レポーター誌によれば、ジェリー・ブラッカイマーはアーサー王の真実の物語の映画化をアイルランドで進行中。ブラッカイマーは今年ショウビズ・アイルランドのパーティに参加した際、真のアーサー王映画をアイルランドで撮る計画について語った。『我々は今年後半にはここでアーサー王映画を撮る計画を進めている。伝説の再話ってことになるが、過去のアーサー王映画でイギリス人が描いてきたより、実際はかなり早い時代の話なんだ。彼らは伝説に変更を加えてきたんだ。たとえば、アーサーは本当はローマ人で、円卓の騎士というのはロシアの偉大な騎馬部族だったんだ。」【carinya】

ディレクターズカットのDVDを米国アマゾンで買った。劇場公開版と違ってR指定なので、戦闘シーンが長く、血や切られた手足が飛び、アーサーだって蛮族の首を容赦なくチョン切るし、最後の戦いではグィネヴィアの他にも数人、革紐ビキニで勇ましい格好の女戦士が出てきたので「そうでなきゃ嘘だよな〜」と胸を撫でおろした。でもラストは劇場公開版と同じ、アホなハッピーエンドでした。特典映像の「もうひとつのエンディング」---戦死者を葬り、地面に突き刺さったエクスカリバーを原住民の少年が抜こうとして抜けないという象徴的シーンで終わる---の方が絶対良いのに!【マン】

トリスタンとイゾルデ」参照。


刑事タガート Taggart
1983年〜 イギリス 分 TV
ピーター・バーバー・フレミング他監督 マーク・マクマナス ジェームズ・マクファーソン ニール・ダンカン ロバート・ロバートソン イアン・アンダース

83年から続いている刑事ドラマで、現在ミステリチャンネルで放映されています。この20年で60話ほどしか製作されていないので(平均すると年3話?)1話1話の質が非常に高いです。主人公タガート警部が殉職し、ジェームズ・マクファーソン演じるマイケル・ジャーディン警部補が彼の後を継いで警部に昇進、「新・タガート」が始まりますが、そのマイケルも最近殉職、現在新警部を迎えての「タガート3」が放映中ですが、87年からレギュラーを務めているハンサムなマクファーソンの退場は現地のファンをがっかりさせたようです。舞台はグラスゴーですが、「リーバス警部」「マクベス巡査」とスコットランドを舞台にした刑事ものは結構多いですね。ちなみに「探偵フィッツ」の舞台はマンチェスターですが、主人公のフィッツジェラルドってアイリッシュ系の名前ではなかったですか?主役のロビー・コールドレーンはスコットランド出身ですが、アイルランド、スコットランド共に多い名前なのでしょうか。【erin】


OZ Oz
1997〜2003年 アメリカ 分 TV
トム・フォンタナ原作 カーク・アセヴェド アーニー・ハドソン テリー・キニー リタ・モレノ

スーパーチャンネル放映「OZ」の第4シーズンでは、オズワルド刑務所にIRAのテロリストが収監されてきます。40話で、未だに分割されている故郷アイルランドの状況を世界に訴えてやるんだと言って、お手製の爆弾を刑務所内で爆破させようとするのですが、運良く?不発に終わります。しかし、その後、思わぬエンディングが待ちかまえています。まさにブラックの極み。現在第4シーズンまで放映済み。第5シーズンは2005年早々に放映が開始されるそうです。こちらも1シーズン10話しか作られないため、非常に脚本が練られています。【erin】

第1シーズンは私もたまに見ていましたが、刑務所内は確かアングロサクソン&ジャーマン系、アフリカ系、ヒスパニック系、イタリア系、アイルランド系の5派閥に分かれていて、互いに抗争したり結託したり。冒頭の派閥がネオナチ的で、アイルランド系から宗旨変えしてこのネオナチ・グループに入りたがる者が出たりするんでしたっけ?アイルランド系の房の区画が通称エメラルドシティ、その中心人物として囚人マクマナス(テリー・キニー)。【マン】


SEX AND THE CITY Sex and the City
1998〜2004年 アメリカ 分 TV
ダレン・スター他原作 サラ・ジェシカ・パーカー キム・キャトラル クリスティン・デイヴィス シンシア・ニクソン クリス・ノス ウィリー・ガーソン デヴィッド・エイゲンバーグ カイル・マクラクラン

ニューヨークで自己実現したいキャリアウーマンたちの悪戦苦闘ぶりを、男女の赤裸々な関係やきわどい会話を通して描く。第60話では、シャーロット(クリスティン・デイヴィス)は40代の医師トレイ・マクドゥーガル(カイル・マクラクラン)と結婚したものの、子供ができずにホルモン療法中だが、焦りから中国人の子供を養子に貰おうかと言い出す。そんな時ニューヨーク在住スコットランド人の会のパーティがあって、トレイはマクドゥーガル氏族の自分のキルトをクリーニング店から受け出し、シャーロットは同じマクドゥーガル氏族のタータンチェックでドレスを新調して、パーティに参加。スコットランド生まれ?のトレイの母は、氏族の血統を絶やす心配や「私は中国料理は大嫌い」など、嫁のシャーロットにネチネチいやみを言う。このシーンはタータンチェックやスコットランド・ダンスがたっぷり。【マン】


キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン Catch Me If You Can
2002年 アメリカ 141分
スティーヴン・スピルバーグ監督 レオナルド・ディカプリオ トム・ハンクス クリストファー・ウォーケン マーティン・シーン ナタリー・ベイ ジェームズ・ブローリン

実在の詐欺師フランク・W・アバグネイル・ジュニア(レオナルド・ディカプリオ)と小切手偽造事件専門のFBI捜査官カール・ハンラティ(トム・ハンクス)の追いかけっこ。16歳のフランクは両親の離婚の際に家出し、1960年代当時は皆の羨望の的だったパンナムのパイロットになりすまし、飛行機のただ乗りを繰り返す他、偽造小切手で多額の現金を騙し取る。ハンラティ捜査官に正体を見破られそうになった彼は、今度は28歳の医師になりすまし、看護婦見習いのブレンダ・ストロングと出会って婚約、信仰心厚いストロング家に入り込む。ストロング家の父(マーティン・シーン)は厳格な検事で、フランクは「じつは私は医師の資格の他に弁護士の資格も持っている。検事になりたい」と言ってまんまと司法試験に合格し検事補になりすます。医師や検事らしく見せかけるために当時のテレビドラマの主人公を真似したり、偽名にコミックの主人公の名前を使ったり、「007」が流行した時はショーン・コネリーと同じ背広を作って真似したり、酒が飲めず、菓子が好きで、財布から出てくるのはコカコーラのクーポン券ばかりだったり、子供っぽいところが見え隠れするさまが楽しい。ルーテル派(プロテスタントの伝統的宗派)のストロング家がなぜかミッチ・ミラーのテレビ番組が大好きで、「さあ皆さん一緒にアイルランドの歌を歌いましょう」とミッチ・ミラーが言うと、テレビの前で一家揃って異常なほど嬉しそうに合唱する謎のシーンがある。【マン】


抱擁 Possession
2002年 アメリカ、イギリス 102分
ニール・ラビュート監督 グイネス・パルトロウ アーロン・エックハート ジェレミー・ノーザム ジェニファー・エール トビー・スティーヴンス トレヴァー・イヴ トム・ヒッキー グレアム・クロウデン アンナ・マッシー レナ・ヒーディ ホリー・エアード

ヴィクトリア朝の桂冠詩人アッシュは妻ひとすじで他に女性の影はなかったというのが学界の定説だったが、大英博物館の図書館教授ブラックアダー(トム・ヒッキー)の助手をしているアメリカ人ローランド・ミッチェル(アーロン・エックハート)は、アッシュ自筆の書きかけのラブレターを偶然発見。それを盗み出したローランドは、手紙の相手が女流詩人ラモットだと仮説を立て、教授にも内緒で、以前に教授の助手だったオックスフォードの女性学教授モード・ベイリー(グイネス・パルトロウ)に会いに行く。ラモットの親族の子孫だというモードは最初、ラモットはレズビアンだったとしてローランドの仮説を退けるが、ローランドとともに実家の古城を探してみると、1859年頃にふたりが交わした多くの手紙が出てくる。アッシュとラモットの愛の足跡を訪ねて、モードとローランドはヨークシャーに向かう。一方モードと腐れ縁の元同僚ファーガス(トビー・スティーヴンス)がこの新発見を嗅ぎつけ、富(アッシュの自筆書簡はオークションで高値がつく)と学問的功績欲しさに動き出す。アッシュの自筆書簡が出品されたサザビーズのオークションに現れたブラックアダー教授を見て、ファーガスが「彼は買い戻す金もないくせに、貧乏アイルランド人の“いじめられたい”病がまた始まったな」と嘲笑するシーンがある。ヴィクトリア朝の架空の詩人、すでに中年のアッシュ(ジェレミー・ノーザム)とラモット(ジェニファー・エール)が文通だけでは満足できなくなって激しい愛に身を焦がす、悲恋の再現ドラマが美しく、それに絡む現代の、もう若くはなく恋に臆病になった男女の行方や、謎解きの面白さ(実際より性急すぎるけど)もある。ヨークシャー北部をはじめ英国各地でロケ。【マン】


ケリー・ザ・ギャング Ned Kelly
2003年 オーストラリア、イギリス、フランス 110分 R
グレゴール・ジョーダン監督 ヒース・レジャー オーランド・ブルーム ジェフリー・ラッシュ ナオミ・ワッツ ジョエル・エドガートン ローレンス・キンラン フィル・バランティーニ ケリー・コンドン クリス・マックエイド エミリー・ブラウニング キリー・パラモア

オーストラリア出身若手人気2大スター、ヒース・レジャーとオーランド・ブルームが共演する、1880年に26歳で縛り首になった実在のオーストラリアの伝説的アウトロー、ネッド・ケリーの物語。舞台がアイルランドではないのでだが、内容はぐらい付けてもいいほどアイリッシュ度数が高い。かつて英国領だったオーストラリアは英国本国からあまりにも遠く、積極的に移住しようという英国人も少なく、広大な荒野を開拓する人手が圧倒的に不足していたために、英国政府はすぐ隣の植民地アイルランドから政治犯や微罪の男たちを棺桶船と呼ばれる足枷付きの木造帆船に大量に詰め込んでオーストラリアに運んだ。輸送には3〜9ヶ月かかり、途中で半数以上が死んだという。1800年代後半からはよく知られるとおり、アイルランド国内の大飢饉でアイルランド人自らがアメリカ、カナダ、オーストラリアへと大量流出=「移民」することになるのだが、その前の1800年代前半には、上述のような「流刑者」として大勢のアイルランド人がオーストラリアに来たのだ。だから当然、流刑者の子や孫の世代になっても、役人、地主、上流階級、官憲はイギリス人。アイルランド人は下層階級として虐げられる。この英国人による不当なアイルランド人差別は、アイルランド本国よりも遠い植民地での方が露骨だったといわれる。流刑者の子として生まれたネッド・ケリー(ヒース・レジャー)は、少年時代に沼で溺れた子供を助けて褒美に緑色のサッシュ(飾り帯)を与えられたが、17歳の時に馬泥棒の嫌疑で逮捕され、21歳まで刑務所で過ごす。いっぱしのワルになって出所すると、同じアイルランド人でありながら英国に雇われてアイルランド人を虐待する側に回った警官たちと酒場でトラブルを起し、弟や親友ジョー・バーン(オ−ランド・ブルーム)らと数人で出奔、ケリー・ギャングの名で銀行強盗など各地を荒し回り、8000ポンドの賞金が懸けられるが、その反面で紳士的だと人気者にもなる(特にオーランド様演じるジョーは色男で鳴らしたらしい)。警視総監ヘア(ジェフリー・ラッシュ)はケリーの母を投獄するなど強硬な手段でケリー一味を追い詰め、ついにオーストラリア犯罪史上有名なグレンローワンの銃撃戦が…。映画の中に出てくる緑色のサッシュ、ネッドがジョーに口述筆記させ英国王に宛てたが配達されることのなかった抗議の手紙、グレンローワンの銃撃戦でネッドが装着した鎧、コルト銃など、またネッドのデスマスクも、実物がオーストラリアの博物館で見られるそうで、ネッド・ケリーはオーストラリア人にとって単なる犯罪者ではなく英雄らしい。ローリングストーンズのミック・ジャガーがネッド・ケリーを主演した「太陽の果てに青春を」という1970年イギリス映画もある(未見、データはこのすぐ下の項を参照)が、多分アメリカン・ニューシネマ的、反体制がテーマで、リアリティはないのだろう。【マン】


太陽の果てに青春を(ビデオ題:ミック・ジャガー ネッド・ケリー) Ned Kelly
1970年 イギリス 99分
トニー・リチャードソン監督 ミック・ジャガー クラリッサ・ケイ マーク・マクナマス ケン・グッドレット フランク・スリング ブルース・バリー トニー・ベイゼル アレン・ビックフォード ロバート・ブラニング

1800年代後半のオーストラリアに実在したアウトローを、ミック・ジャガーが演じる。(このすぐ上の「ケリー・ザ・ギャング」参照。)


コールドマウンテン Cold Mountain
2003年 アメリカ 152分 R
アンソニー・ミンゲラ監督 ジュード・ロウ ニコール・キッドマン レニー・ゼルウィガー ブレンダン・グリーソン フィリップ・セイモア・ホフマン ナタリー・ポートマン ドナルド・サザーランド レイ・ウィンストン キャシー・ベイカー ジェームズ・ギャモン アイリーン・アトキンズ

単純なストーリー、神話的スケールの骨太メロドラマ。同時に、南北戦争がアメリカにもたらした経済と人心の荒廃がいかに大きく悲惨だったか、寡黙に力強く訴える。牧師の父(ドナルド・サザーランド)とともに都会のチャールストンから田舎のコールドマウンテンに移住してきたエイダ(ニコール・キッドマン)が、教会堂建設の大工をしていた無口な青年インマン(ジュード・ロウ)と知り合い、わずかな言葉を交わし、互いの写真を交換し、一度だけのキスをする。1861年ノースカロライナ州を含む南部7州が連邦脱退して南北戦争が始まり、インマンも村の男たちとともに志願出征する。エイダは父が死んで生計が立ち行かなくなり、州義勇軍として村に居残ったならず者たちは彼女にストーカー行為を繰り返す。3年後、ピーターズバーグの戦いで負傷し野戦病院に収容されたインマンは、「私はいつまでもあなたを待つ。帰ってきてほしい」というエイダの何ヶ月も前の手紙の存在を初めて知り、脱走兵は見つかれば銃殺刑と知りながらコールドマウンテンに向かう。生活に窮したエイダを手助けする働き者の山の娘ルビー(レニー・ゼルヴィガー、アカデミー助演女優賞)の、ろくでなしの父スタブロッド・シューズ(アイルランド人俳優ブレンダン・グリーソン)がやはり脱走兵のフィドル弾きで、バンジョーとマンドリンの仲間がいてヒルビリー音楽を堪能できる。【マン】


アサインメント The Assignment
1997年 カナダ 111分 R
クリスチャン・デュゲイ監督 エイダン・クイン ドナルド・サザーランド ベン・キングスレイ クローディア・フェッリ セリーヌ・ボニエ ウラスタ・ウラナ リリアナ・コモロフスカ

1980年代、ジャッカル(「ジャッカル」参照)の通称であまりにも有名な国際テロリスト、カルロスと顔や容姿がそっくりのアメリカ海軍将校アニバル・ラミレス(エイダン・クイン2役)が、偶然にCIA(ドナルド・サザーランド)とイスラエルのモサド(ベン・キングスレイ)に見いだされ、極秘にカルロスになりきる特訓を受ける。カルロスがCIAに寝返ったように見せかけて本物のカルロスをロシアのKGBに抹殺させようという最初の作戦が失敗し、ラミレスは妻子の待つ家庭に戻るが、彼はもう元の彼ではなく本物のカルロスのような獣になっていた…。中南米系国籍不明のカルロスは黒い目なので、青い目のラミレスはコンタクトレンズを着けるのだが、アクション中に片方失い左右の目の色が違ったりして面白い。キューバ移民の子であるラミレスの目が青い理由として、母はアイルランド系だからだという説明がある。【マン】


ネバーランド Finding Neverland
2004年 イギリス、アメリカ 100分
マーク・フォースター監督 ジョニー・デップ ケイト・ウィンスレット ジュリー・クリスティ ニック・ラウド ラーダ・ミッチェル ダスティン・ホフマン ケイト・メイベリー ケリー・マクドナルド イアン・ハート

ジョニー・デップ主演の「ネバーランド」。これは作家ジェームス・バリが「ピーター・パン」を書くにいたったある家族との交流を描いた作品。ジェームス・バリはスコットランドのキリミュア出身。というわけで、ジョニーはコーチについてスコットランド訛りをレッスンしたそう。私はよく聞き分けられなかったけど、ものすごく訛ってる、というんじゃなく、やっぱりどこか、ロンドンの人の英語と違うな、という印象でした。舞台はずっとロンドンなので、スコットランドは出てきませんでした。【pokichi】


スターリングラード Enemy at the Gate
2001年 アメリカ、ドイツ、イギリス、アイルランド 131分 R
ジャン・ジャック・アノー監督 ジュード・ロウ エド・ハリス レイチェル・ワイズ ジョゼフ・ファインズ ボブ・ホスキンス ロン・パールマン エヴァ・マッテス ガブリエル・トムソン

大作にして描写はきめ細やか。ご存じのとおり舞台は第2次大戦中のソ連(ロシア)。ロケ地もほとんどドイツのようだし、キャスト、スタッフにもアイルランド系の名前はほとんど見当たらず、どのへんがアイルランド製かわからないが、「ナッシング・パーソナル」「遥かなる大地へ」「私が愛したギャングスター」など幾つかお馴染みのアイルランド映画を手掛けたアイルランドの制作会社リトルバードが参加し、これまた多くのアイルランド映画でお馴染みのジョン&ロス・ハバードがキャスティングをしている。【マン】


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