IRISH-ON-FILM INDEX


ダブリンバスのオスカー・ワイルド A Man of No Importance
1994年 イギリス 98分 R
シュリ・クリシュナーマ監督 アルバート・フィニー ブレンダ・フリッカー マイケル・ガンボン タラ・フィッツジェラルド ルーファス・シュウェル パトリック・マラハイド デヴィッド・ケリー ミック・ラリー

プロヒューモ事件の言及があるから時は1963年、ダブリン市内を走る緑色の2階バスの車掌をしている初老の独身男が主人公の市井喜劇。サロメ役にぴったりの若い女性を見つけた彼は仲間を集めて芝居の稽古を始めるが…。演技陣は実力派揃い、オスカー・ワイルドの引用に飾られたしゃれた作品でありながら、カトリック国アイルランドの頑固な倫理観(特にセックス関係の)が浮き彫りになる。【マン】


ザ・コミットメンツ The Commitments
1991年 アメリカ、アイルランド 117分
アラン・パーカー監督 ロバート・アーキンズ マイケル・アーン アンジェリン・ボール マリア・ドイル デイヴ・フィネガン ブロナー・ギャラハー フェリム・ゴームリー グレン・ハンサード ディック・マッシー ジョニー・マーフィ ケネス・マックラスキー アンドリュー・ストロング コルム・ミーニー

ダブリンの労働者階級の若者達のエネルギッシュな生態を描いた、ロディ・ドイル原作の3部作の第1弾。この映画のためにオーディションで集めた新人達のソウルフルな演奏が素晴しい。主人公の自宅居間の壁、ローマ教皇の肖像より上にエルビス・プレスリーの聖画(?)が飾られている。

原作者ロディ・ドイルがアイルランド出身ロックスターのロリー・ギャラガーのファンだったので、かつては世界中をツアーして大物とセッションしたという栄光を引きずる忘れ去られた中年トランペッター、ジョーイ・フェイガンの役でロリー・ギャラガーを出演させてほしいと希望したらしい。(だがロリーはトランペッターではなくギタリスト。私もロリーの大ファンなので、すごく長くてよければ「ロリー・ギャラガー アイリッシュ・ツアー1974」をご覧ください。)実際ロリーの手元に脚本が届けられたが、ロリーはそれを読み、セリフに汚い言葉が多いのでいやになってゴミ箱に捨てたのだと伝えられる。また実際この時期のロリーの人気は“落ち目”だったので、この話は生々しすぎます。【マン】

アイルランドと言うとザ・コミットメンツは何度か見ました。ダブリンの労働者階級の若者がソウル音楽を通して生きる様子を描いている。そのコンサートの中で歌われるダーク・エンド・オブ・ストリートが凄く良くてサントラCDも買いました。この曲はライ・クーダーの初期の頃のアルバム『流れ者の物語』インストとライブアルバム『ショー・タイム』ゴスペル歌入りで、どちらのアルバムもボトルネック奏法で演奏しています。超オススメですよ。それと、私の大好きなタトゥーの女などのロリー・ギャラガーがこの映画に関係があったとは、初めて知りました。こんな楽しいサイトを当サイト「介護のオアシスde一休み」(http://www.biymsus.com)に訪問される方に是非紹介したいと思いリンクをしました。【ヨシ】

シリーズ展開:スナッパー ザ・バン


スナッパー The Snapper
1993年 イギリス 95分 R
スティーヴン・フリアーズ監督 コルム・ミーニー ティナ・ケレハー ルース・マッケイブ コルム・オバーン エンナ・マクリーアム シアラ・ダフィ ジョアンヌ・ジェラード ピーター・ロウエン フィオヌーラ・マーフィ カレン・ウッドリー パット・ラファン ブレンダン・グリーソン

ダブリンの下町を舞台としたロディ・ドイル原作の3部作の第2弾。スナッパーとはオムツ・カバーを留める安全ピン(スナップ)からの連想で、赤ん坊のこと。妊娠して相手の名を明かそうとしない娘とその家族の当惑、友人達との騒動をコミカルに描く。アイルランドは現在も妊娠中絶はきつくご法度、バース・コントロールすらままならず(今もまだコンドームが買えないのか、エイズで事態は変わったのかはわからない。ご存じの方は教えて)、盛り場で夜遊びするハイティーン男女のグループの中に赤ん坊が混じっているなんて光景も珍しくない。【マン】

コンドームについての質問がありましたのでお答えします。アイルランドでは避妊はもう解禁です。たぶん解禁されて6、7年は経つと思います(少なくとも、僕がアイルランドにきた93年2月には解禁されてました)。今はパブに行くと、トイレにコンドームの自販機が置いてあります(若者客の多いパブには必ずあるでしょう)。買うと、相模ゴム社製のコンドームが出てきたりします。女性の避妊ピル飲用は非常に一般的です。あと、注射でホルモンを制御して生理を止めてしまう、という荒業も解禁されていますが、さすがにこれは一般的ではありません。中絶はまだ違法です。アイルランドでは一般的に女性が避妊の用意をするものと考えられているようです。ですので、「アイルランド人の男と付き合う日本人の女の子はちゃんと気を付けるように」と日本に住んだことのあるアイルランド女性が言っていました。【みやたに】

シリーズ展開:ザ・コミットメンツ ザ・バン

監督はスティーブン・フリアースだったか誰だったかで(どうも違う気がするのですけど)アイルランドの家族の風景を描いたほのぼのした映画だったんですけど、印象的だったのが、最初or最後に流れた歌で、エルビス・プレスリーの「好きにならずにいられない」(でしたっけ?邦題)を、子供たちが歌っているんです。アレンジもちょっとケルトっぽかったような気がします。確か、日比谷のシャンテシネで上映してたと思うんですけど。あの歌をもう1度聴きたくて、サントラを探したけど映画のタイトルさえ忘れてる始末。ほとんど忘れかけてもいましたが、こんな素晴しい!ページを発見したので、最後の頼みの綱としてメール送ってみます。どなたかご存じの方は教えてください!【がんちゃん】

【がんちゃん】さんお探しの映画は、「スナッパー」に違いないと思います。パンフをみると、オープニングとエンディングにプレスリーの「好きにならずにいられない」の、アイリッシュ・バージョンが使われていたとのことです。実は、このバージョン、「恋しくて」という映画のエンディングに最初に使われていました!!(「スナッパー」は使いまわしってこと・・・?)「スナッパー」のサントラは、どこを探しても見つからないんですが、「恋しくて」は、比較的楽に手に入りますよ。【ici】


地獄の殺戮都市 A Quiet Day in Belfast
1974年 アメリカ 90分 R
ミラド・ベサド監督 マーゴット・ギダー バリー・フォスター

ほとんどのレンタル・ビデオ屋で既に処分してしまったであろう泡沫悪趣味映画のひとつ。製作年度を見れば北アイルランドはまさに流血の真っただ中、内外の一般市民が興味本位で傍観していたことが思い起こされる。ベルファストを来訪したエリザベス女王のパレードを狙って用意した時限爆弾が手違いでカトリック地区のブックメーカー(賭け屋)の店内で爆発、血と肉片が散乱する阿鼻叫喚地獄、というゴア・フィルムで、英軍に投石して射殺される子供、コールタールを使ったIRAのリンチなどのサディスティック・シーンもある。表向きはブックメーカー店主でIRAスパイの役、赤毛のバリー・フォスターは、大作「ライアンの娘」でもIRAの英雄ティム・オリアリーを演じているのがなぜか悲しい。【マン】


ザ・デッド 「ダブリン市民」より The Dead
1987年 アメリカ 83分
ジョン・ヒューストン監督 アンジェリカ・ヒューストン ドナル・マッキャン キャスリーン・デラニー ヘレナ・キャロル イングリッド・クレイギー レイチェル・ダウリング ダン・オハーリヒー フランク・パターソン ドナル・ドネリー マリー・キーン マリア・マクダーノットロー ショーン・マックロリー

アイルランドを愛し、アイルランド映画のために尽力したアメリカ生まれの映画人ジョン・ヒューストンの81歳の静かなる遺作。ジェームズ・ジョイスの短編から長男アンソニーが脚本を書き、長女アンジェリカが主演し、アイルランドの実力派演技陣が支える。【マン】


司祭 Priest
1994年 イギリス 105分 R
アントニア・バード監督 ライナス・ローチ トム・ウィルキンソン キャシー・タイソン ロバート・カーライル ジェームズ・エリス レスリー・シャープ ロバート・ピュー クリスティン・トレマルコ ポール・バーバー リホ・ファニング

リヴァプールのカトリック教会に赴任した若い司祭が、ある少女の「父親にレイプされている」という告白を聞く。彼自身じつはゲイであることもばれてしまい、信者の心は彼から離れ、事態は深刻に。ゲイの聖職者や司祭と家政婦の事実婚については、アメリカのカトリック教会では先んじて表面化し、「背徳の罠」という1987年度作品が既にある。リヴァプールは伝統的にアイルランド移民が最初に荷物を下ろす街であり、しかもカトリック教会が舞台とくれば登場人物は多分にアイルランド系の人々だろう。壁にはIRAと書き殴られ、アイルランドのレベル・ソングThe Fields of Athenlyが使われるシーンもある。この暗さはビートルズの生まれた街とは到底思えない。英国内のカトリック教会が舞台で告解の守秘義務が問題になる映画には他に「死にゆく者への祈り」がある。【マン】


静かなる男 The Quiet Man
1952年 アメリカ 129分
ジョン・フォード監督 ジョン・ウェイン モーリーン・オハラ バリー・フィッツジェラルド ヴィクター・マクラグレン ミルドレッド・ナットウィック アーサー・シールズ ウォード・ボンド ケン・カーティス メイ・マーシュ ジャック・マッゴーラン ショーン・マックロリー フランシス・フォード

テクニカルカラーのラッシュを見たリパブリック・ピクチャー社の重役ハーバート・イェーツが「緑色だらけじゃないか」と叫んだという伝説がある。アメリカで試合の相手をリング上で死に至らしめて引退したボクサー、ショーン・ソーントンが、アイルランドの故郷に帰って来て嫁取りするという典型的なヤンキー映画。アイルランド西部のゴールウェイ州コネマラとメイヨー州コングでロケ。特にコング村はそのまま観光コースと化し、スクリーンではパブとしてお馴染みになった雑貨屋は、中では雑貨屋を続けながら外にはパブの看板を掲げて観光客の記念撮影に貢献しているそうだ。【マン】

(2007/07/25)
やっとCongへ行ってきました。6月末から2週間ほどアイルランドに行ってきました。ベルファストから入って、「ダニー・ボーイ」のふるさとのデリーにも2泊、スライゴーを経て、アラン島とキラニーへ。そこからツアーから離れて念願のアシュフォード城で2泊、そこから歩いてCongで「静かなる男」ロケ地めぐり、アシュフォード城にもロケ地が沢山残っていますから2日間たっぷりと楽しみました。町の中には映画で使った家を再現したHeritage Center(写真)もあり、結構賑わっていました。観光バスもやって来てこの町はこれでやっているみたいでした。向こうで買った「The Complete Guide to The Quiet Man」というA4版260Pの本は現地の大学の先生が長年に渡って調査してきた(300回ビデオを見たということです)この映画のロケ地の現場情報、当時の模様、台詞、音楽とあらゆる情報を網羅しておりすばらしいものです。一本の映画についてこんなに詳しい本が出るなんて、この映画の魅力ですかね。もう一度いってみたいと思わせる本です。【野村雅之】


死にゆく者への祈り A Prayer for the Dying
1987年 イギリス 107分 R
マイク・ホッジス監督 ミッキー・ローク ボブ・ホスキンズ アラン・ベイツ サミ・デイヴィス クリストファー・フルフォード リーアム・ニーソン アリソン・ドゥーディ

英軍兵員輸送トラックを狙った爆弾が手違いで子供達で満員のスクール・バスを爆破してしまい、自責の念に駆られるテロリストのマーティン・ファロン(ミッキー・ローク)が潜伏したロンドン・ドック地区のカトリック教会で罪を告白。司祭が信者の告解で聞いたことは他言してはならないという戒律を逆手に取って、司祭(ボブ・ホスキンズ)に自分を匿わせる。盲目の少女との恋、葬儀社を隠れ蓑に悪事を働く暴力団、北アイルランドから追って来たテロリスト。B級アクション映画だが、最後にせめて魂だけでも救済しようと死にゆくテロリストに祈りを促す司祭の必死な姿は、キリスト教徒でなくても感動を覚えるだろう。【マン】


ジュノーと孔雀 Juno and the Paycock
1930年 イギリス 96分
アルフレッド・ヒチコック監督 サラ・オールグッド エドワード・チャップマン シドニー・モーガン マリー・オニール ジョン・ローリー デニス・ウィンダム ジョン・ロングデン キャスリーン・オリーガン

独立前夜のダブリンの貧困家庭を舞台にしたショーン・オケイシーの戯曲の映画化だが、舞台をそのままフィルムに写しただけみたいで、ヒチコックらしさは見られない。【マン】


スターダスト The Miracle
1991年 イギリス 100分 R
ニール・ジョーダン監督 ビヴァリー・ダンジェロ ドナル・マッキャン ニール・バーン ロレイン・ピルキントン J・G・デヴリン

酒に溺れたサックス吹きの父(ドナル・マッキャン)とダブリン南郊に暮らす少年が、ある日出会ったアメリカ人の中年女性(ビヴァリー・ダンジェロ)に興味と愛着を覚え、母子相姦の罪を犯す。現代人の神との関わりを身近なテーマとして描いた、ストーリー・テラーとして一流のニール・ジョーダン脚本・監督の佳作。ジョーダンはサックス吹きが好きだ(「エンジェル」参照)。【マン】


ステート・オブ・グレース State of Grace
1990年 アメリカ 134分 R
フィル・ジョアノウ監督 ショーン・ペン エド・ハリス ゲイリー・オールドマン ロビン・ライト ジョン・タトゥーロ バージェス・メレディス ジョン・C・ライリー

生まれ故郷、ニューヨークのヘルズ・キッチンに帰ってきた青年。友達の兄がボスになっているアイリッシュ・マフィアの一員となるが、じつは潜入捜査のためにボストンから呼び戻された警官だった。1970年代まで貧しいアイルランド系移民のスラムだったヘルズ・キッチンが、「ヤッピー」の居住地域として再開発されるに従い、追い詰められたアイルランド系とイタリア系ギャングの両勢力が衝突する。幼馴染みのショーン・ペン、ゲイリー・オールドマン、ロビン・ライトの3人が「セント・パトリックス・デイ(アイルランドの守護聖人パトリックの祝日、3月17日)にはぱあっとやろうぜ」を合い言葉に、困難な状況の中でアイデンティティを確認し合うさまがせつない。クライマックスは、5番街を埋めるセント・パトリックス・デイの盛大なパレードと、アイリッシュ・バーでの銃撃戦の絡み合い。パレードのシークェンスはオープニング・タイトルにも使われているが、音楽はアイリッシュ・トラッドではなくしゃれたガーシュイン風。エンニオ・モリコーネの作曲。【マン】


ストレート・トゥ・ヘル Straight to Hell
1987年 アメリカ 86分 R
アレックス・コックス監督 サイ・リチャードソン ジョー・ストラマー ディック・ルード コートニー・ラヴ デニス・ホッパー グレース・ジョーンズ エルヴィス・コステロ ジム・ジャームッシュ ザ・ポーグス

マカロニ・ウェスタン乗りのメキシコ国境犯罪映画。なぜかアイルランドのミュージシャン、エルヴィス・コステロとポーグスの面々が出演してマジに演技している。エンディング曲はもちろんポーグス。【マン】


スリー・リバーズ Striking Distance
1993年 アメリカ 101分 R
ロウディ・ヘリントン監督 ブルース・ウィリス サラ・ジェシカ・パーカー デニス・ファリーナ トム・サイズモア ブリオン・ジェームズ ロバート・パストレッリ ティモシー・バスフィールド ジョン・マホニー アンドレ・ブラウガー ジョディ・ロング

3つの河が合流するピッツバーグを舞台に、主人公は父方がアイルランド系で5代続いた警官一族、母方の親戚もイタリア系の警官一家。互いに強すぎる血族の絆ゆえに殺し合うはめに。トラブルに巻き込まれて警察署のパーティでも疏外される主人公を、父方の一族だけが暖かく歓迎する。ブルース・ウィリスにアイリッシュらしい演技は感じられないのだが、ドラマはいつのまにかアイルランド系とイタリア系の移民どうしの民族対立の構図になっている。【マン】


ダーティ・ハリー Dirty Harry
1972年 アメリカ 102分 R
ドナルド・シーゲル監督 クリント・イーストウッド ジョン・ヴァーノン ハリー・グァルディーノ レニ・サントーニ ジョン・ラーチ アンディ・ロビンソン

その殺伐さであまりにも有名なウェストコースト・ポリス・アクション。ハリー・キャラハンには人情のかけらもないが、長いものに巻かれることのできない性分、警官としてのプロ根性は確かにアイルランド系としか言いようがない。【マン】


大列車強盗 The First Great Train Robbery
1979年 イギリス 111分
マイケル・クライトン監督 ショーン・コネリー ドナルド・サザーランド レスリー・アン・ダウン アラン・ウェッブ マルコム・テリス ウェイン・スリープ ロバート・ラング

ヴィクトリア朝のロンドンに実在した怪盗エドワード・ピアースが主人公。舞台はイギリスだが、アイルランドのウィックロウ州でロケ。【マン】


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