IRISH-ON-FILM INDEX


アラン Man of Aran
1934年 イギリス 77分 サイレント
ロバート・フラハティ監督 コルマン(タイガー)・キング マギー・ディレイン マイケル・ディレイン

映画史上有名なセミ・ドキュメンタリー。全編ヤラセの上、出演した地元の人々を実際に危険なめに遭わすなど、フラハティは批判にも晒されたが、名画には違いない。「フラハティの小屋」は今日アラン島一周ミニツアーの目玉になっているし、夏の観光シーズンには公民館で上映されることも多い。【マン】

 
Dun Aonghus (left), Man of Aran Cottage (right). Copyright 1998 Kunio Takagi.

 
Copyright 2000 Megumi Manzaki.


密約の地 On Dangerous Ground
1995年 カナダ、イギリス、ルクセンブルグ 100分
ローレンス・ゴードン・クラーク監督 ロブ・ロウ ケネス・クラナム デボラ・ムーア インゲボルガ・タプクナイテ ダフネ・チュン クロード・ブランシャール ユルゲン・プロクノフ

元IRAで「マグワイヤ7」(「父の祈りを」参照)の1人だった国際手配中の傭兵ショーン・ディロン(ロブ・ロウ)が、かつてメイズ刑務所で自分を拷問した公安警察にスカウトされるという、シリーズ物アクションのヒーローとしては思いきり変わった経歴。英国とIRA双方に恨みを抱くベルファスト出身のテロリストが、イランから資金を得て訪英中のアメリカ大統領と中国外相の暗殺を企てるところから話が始まるが、本筋は、香港割譲に関する毛沢東とマウントバッテン公の約定書を欲しがる華僑とマフィアの争い。(ちなみに王族のマウントバッテン公は1979年、アイルランド国境付近でIRAの爆弾で死亡。)舞台はロンドンからスコットランド、そしてシチリアへ。スコットランド・シーンの実際のロケ地はウェールズらしい。【マン】

シリーズ展開:嵐の眼 Wの密約


父の祈りを In the Name of the Father
1993年 アメリカ、アイルランド 127分 R
ジム・シェリダン監督 ダニエル・デイ・ルイス ピート・ポスルスウェイト エマ・トンプソン ジョン・リンチ コリン・レッドグレイヴ ジェラード・マクソーリー ビーティ・エドニー ダニエル・マッシー ブリッタ・スミス ローナン・ウィルモット

20世紀最悪の悪法、1970年代英国のインターンメント(裁判なく容疑だけで拘禁できるとした法律)の犠牲になり、ロンドン郊外のパブ爆破の容疑で15年間服役した「マグワイヤ7」と呼ばれる無実の北アイルランド人の実話を、その1人ジェリー・コンロンの手記をもとに、彼(ダニエル・デイ・ルイス)と父(ピート・ポスルスウェイト)との葛藤と愛を中心に描く。民族主義的な社会派作品が多く「アイルランドのオリヴァー・ストーン」と悪口(?)言われるジム・シェリダンだが、観客の感情移入を拒む主人公の描き方は、おそらく意図したものだろう。ベルファストで逮捕してロンドンまで護送して来た主人公を、イギリス人の検事(コリン・レッドグレイヴ)らに軽蔑されながら自ら汚れ役を引き受け、卑劣な脅迫で自白に追い込むアイルランド人刑事(ジェラード・マクソーリー)の描き方は、シェイクスピアの「リチャード3世」に登場する暗殺者ティレルに似ている。ロンドンに出て来た主人公が故郷のみやげのソーセージを渡しに寄った、後に主人公と連鎖式に逮捕される叔母アニー・マグワイヤ(ブリッタ・スミス)の家の壁にエリザベス女王の肖像写真が飾ってあるなど、ディテールにも監督の並み外れた手腕がうかがえる。エグゼクティヴ・プロデューサーはガブリエル・バーン(出演はしていない)。最初にU2の、最後にシニード・オコナーのちょっと挑発的な曲を使用しているのは、ファンにとっては良いだろうが、ナショナリズムの盛り上げ方がいかにもあざとい。【マン】


エクスカリバー Excalibur
1981年 アメリカ、アイルランド 140分
ジョン・ブアマン監督 ニコル・ウィリアムソン ナイジェル・テリー ヘレン・ミレン ニコラス・クレイ シェリー・ルンギ コリン・レッドグレイヴ ガブリエル・バーン カトリーン・ブアマン ポール・ジョフリー パトリック・ステュワート リーアム・ニーソン

イギリス人でありながら当時アイルランド国立映画庁理事長職にあったジョン・ブアマンが、ハリウッドから資金を引っぱって作ったアイルランド映画。アーサー王伝説に馴染みの薄い日本ではカルト映画扱いで一部のマニア向きになっているが、100年後の映画史に残る一本だと思う。ウェールズとコーンウォルを中心にしたケルト民族系の伝説だが、マロリーの『アーサーの死』の錯綜した登場人物と多岐に及ぶエピソードを、うまく1本のテーマにまとめた。「王は国土なり。王衰えれば国土滅びる」というキリスト教以前の原ヨーロッパ的世界観を基調に、魔法使いマーリン(ニコル・ウィリアムソン)に代表されるドゥルイドの時代からキリスト教的人間の時代への移行、その中間的な生と死を体現したアーサー(ナイジェル・テリー)という、ちょっと哲学的なテーマの取り方で、冒険活劇やファンタジーとはかけ離れている。(同じ監督の「未来惑星ザルドス」も同様、ただのSFではない。)呪文はウェールズ語をアレンジしたもののようだが、何と言っているのか不明。音楽はワグナーの「ジークフリートの葬送」「ラインの黄金」「トリスタンとイゾルデ--愛の死」、オルフの「カルミナ・ブラーナ」を効果的に使用。俳優達は当時ほとんど無名に近かった。この映画から、一介の肉感女優に過ぎなかったヘレン・ミレン(モーガナ役)は演技派として開花し、今やアイルランドを代表する2人の俳優、ガブリエル・バーン(ウーザー・ペンドラゴン役)とリーアム・ニーソン(ガウェイン役)、「スター・トレック」シリーズのピカード船長で有名なパトリック・ステュアート(リオデグランス役)が世に出た。モウドレッドの子供時代を演じたチャーリー・ブアマン(後に「エメラルド・フォレスト」主演)とこの映画で一番の美女イグレインを体当りで演じたカトリーン・ブアマンは監督の実子。最も金をかけたのは甲胄類だったらしく、本物並みの重量で、したがって俳優達のはあはあという喘ぎも本物。【マン】

比較作品として「キング・アーサー」参照。


未来惑星ザルドス Zardoz
1974年 イギリス 105分 R
ジョン・ブアマン監督 ショーン・コネリー シャーロット・ランプリング セーラ・ケステルマン ジョン・アルダートン サリー・アン・ニュートン ニール・バギー

ジョン・ブアマンはイギリス人だが、1969年からアイルランドのウィックロウに住み、この映画のほとんどを後にアイルランド国立撮影所となるアードモア・スタジオで撮った。現代アメリカが舞台の「脱出」(Deliverance, 1972)、過去を描いた「エクスカリバー」と、未来を描いたこの映画を「手の3部作」と呼ぶのだが、あまりにも哲学的で意味するところはよくわからない。本国イギリスではロック・スター並みの人気のさなか、薬物中毒で夭折した天才古楽器研究家デヴィッド・マンローが音楽を担当している。曲はバッハ。【マン】


SFキング・オブ・アーサー 魔剣伝説 Arthur the King / Merlin and the Sword
1985年 アメリカ 150分
クライヴ・ドナー監督 マルコム・マクダウェル キャンディス・バーゲン エドワード・ウッドワード ダイアン・キャノン ルーシー・ガッターリッジ ルパート・エヴェレット リーアム・ニーソン マイケル・ガフ マリアム・ダボ

ストーンヘンジのシーンから始まる。「時計じかけのオレンジ」の(あるいはまたペントハウス社製ハードコア歴史大作「カリギュラ」の)マルコム・マクダウェルのアーサー王だからと期待して見ちゃいけない。子供騙し、しかも子供には退屈。野蛮で下品なピクト人(アイルランド系渡来以前のスコットランドのケルト人)として登場するリーアム・ニーソンがご愛矯。【マン】


SOSタイタニック (ビデオ題:失われた航海) S.O.S. Titanic
1979年 アメリカ 105分 (TV)
ウィリアム・ヘイル監督 デヴィッド・ジャンセン クロリス・リーチマン スーザン・セント・ジェームズ デヴィッド・ワーナー イアン・ホルム ヘレン・ミレン ハリー・アンドリューズ ジェラード・マクソーリー

パニック・ドラマ。イギリス船籍の豪華客船タイタニック号はアメリカに向かって処女航海の途中、アイルランドのコーヴに寄港して若い男女の移民を大勢乗船させる。彼らは船底の3等客室に詰め込まれる。船内はデッキも食堂も1・2等用と3等用に厳格に区別され、それぞれのパーティションでのドラマが進行する。上のサロンで金持ちが退屈しのぎの情事に耽る時、下のアイルランド人専用パブでは純真な若い男女が別々に座り互いを観察している。船が氷山に衝突、沈没を逃れ得なくなった時、船長は不足している救命ボートには1・2等の客だけを乗せるよう命令し、アイルランド人は船底に閉じ込められる。ようやくデッキまで上がった彼らは、カトリック神父とともに主の祈りを唱えながら氷の海に沈む。タイタニック号はベルファストで建造されている。かつてベルファストは造船業で世界的に有名だった。【マン】


エバースマイル・ニュージャージー Eversmile New Jersey
1989年 アルゼンチン 88分
カルロス・ソリン監督 ダニエル・デイ・ルイス ミルファナ・ヨコヴィック ガブリエラ・アーシェル フリオ・デ・グラジーラ イグナシオ・キロス ミゲル・リゲロ アナ・マリア・グルンタ

南米パダゴニアの荒野を大型バイクで駆け巡る巡回歯科医、「僕はアメリカから来たアイルランド人の歯医者」と自己紹介する。アルゼンチンのフォルクローレとアイリッシュがミックスしたような音楽が楽しい、オフビートなロード・ムービー。【マン】


エンジェル (ビデオ題:殺人天使) Angel / Danny Boy
1982年 アイルランド、イギリス 92分 R
ニール・ジョーダン監督 スティーヴン・レイ ヴェロニカ・クィリガン アラン・デヴリン ピーター・キャフリー ホナー・ヘファーマン リズ・アン・マクラフリン ドナル・マッキャン レイ・マキャナリー マリー・キーン

目の前でテロと殺人を目撃して復讐を企てるうちに、自らも暴力に取りつかれてゆくサックス吹きをハードボイルド調に描く。今やアイルランド映画界の出世頭ニール・ジョーダンの初監督作で、英米では絶賛されたが、アイルランドではこの国のテロや暴力の問題を個人の心の問題にすり替え、社会の問題として捉えていないという批判もあるようだ。【マン】


オセロ (オーソン・ウェルズのオセロ) Othello / The Tragedy of Othello, a Moor of Venice
1952年 モロッコ 92分
オーソン・ウェルズ監督・主演 マイケル・マクラマー シュザンヌ・クルーティエ ロバート・クート マイケル・ローレンス フェイ・コンプトン ドリス・ダウリング ヒルトン・エドワーズ

イアーゴ役のマイケル・マクラマーとデズデモナの父役のヒルトン・エドワーズはアイルランドの有力な舞台俳優でゲート・シアターの共同経営者。マクラマーが映画に関わったのはこの1本きりだが、エドワーズには「Return to Glennascaul」 (1951)というアイルランド映画の監督作品もある。シェイクスピア好きで映画にも造詣の深い狩野良規・青山学院大学教授はこの映画を、舞台とは違う発想の映像作品としてもあまり高く評価しておらず、シェイクスピア劇の台詞がまともにしゃべれるのはこの映画の中ではマクラマーひとりだと断じている。ウェルズは金策のために長くモロッコのロケ現場を離れ、ようやく戻ると今度は舞台シーズンでマクラマーとエドワーズがダブリンに戻ってしまうといった調子で、撮影は遅々として進まず、完成までに4年半かかった。その間デズデモナ役として11人の女優がカメラの前に立ち、最終的に編集されたフィルムの中にもシュザンヌ・クルーティエ以外に2人の顔が出てくるとかで「演技も個性もへったくれもないのである」(狩野氏)。そもそもウェルズがモロッコに来たわけは、当時ハリウッドに吹き荒れた赤狩りの嵐を避けるためだったらしい。【マン】


男の敵 The Informer
1935年 アメリカ 91分
ジョン・フォード監督 ヴィクター・マクラグレン ヘザー・エンジェル プレストン・フォスター マーゴット・グレアム ウォレス・フォード ウナ・オコナー J・M・ケリガン ジョゼフ・ソイヤー ドナルド・ミーク

独立闘争の同志を密告してしまう純朴な大男の苦悩。【マン】


海賊ブラッド Captain Blood
1935年 アメリカ 119分
マイケル・カーティス監督 エロール・フリン オリヴィア・デ・ハヴィランド ライオネル・アトウィル バジル・ラズボーン ロス・アレグザンダー ガイ・キッビー ヘンリー・スティーヴンソン ロバート・バラット ドナルド・ミーク J・キャロル・ネッシュ アイヴァン・シンプソン レナード・マディ

近年になってナチス・ドイツのスパイ説が有力なアイルランド系のスワッシュバックラー・スター、エロール・フリンの初主演作。アイルランド出身の医者ピーター・ブラッドはジェームズ2世に対して反乱を企てた者を治療したかどで逮捕され、奴隷として西インド諸島に売られる。その後スペイン船を奪って海賊になるが、オレンジ公ウィリアムの即位を知って恩赦を受け入れ、英国旗を掲げてフランス海軍を撃破。総督に収まり令嬢とちゃっかり結婚する。なんか歴史背景がインチキ臭いけど、チャンバラ映画に難しい理屈は抜き。「アイルランド人は謝るのが苦手」と自ら言う台詞がある。【マン】


怪談 Kwaidan
1964年 日本(文芸プロ/にんじんくらぶ) 183分 日本語
小林正樹監督、新珠三千代、渡辺美佐子、三國連太郎、仲代達矢、岸恵子、望月優子、中村賀津雄、丹波哲郎、志村喬、中村翫右衛門、仲谷昇

ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の「黒髪」「雪女」「耳無し芳一の話」「茶碗の中」をスタジオ・セットの人工美により映像化し、カンヌ映画祭審査員特別賞を獲得した。父の国アイルランドで不幸な少年時代を過ごしたハーンは特に「耳無し芳一の話」にケルトの伝承に通じるものを見い出していたのではないか?あの世とこの世のはざまで琵琶を弾じながら一族の滅亡を吟じる盲法師の姿はそのまま竪琴を弾く老オシアンの姿だ。亡霊に連れ去られないようにと芳一の全身に経文を書くところは、そのまま「コナン・ザ・グレート」で真似された。(もしかして「枕草子」でピーター・グリーナウェイも?)【マン】


コナン・ザ・グレート Conan the Barbarian
1981年 アメリカ 129分 R
ジョン・ミリアス監督 アーノルド・シュワルツェネッガー サンダール・バーグマン ジェームズ・アール・ジョーンズ ジェリー・ロペス マコ(岩松信) ベン・デヴィッドソン スヴェン・オレ・トールセン マックス・フォン・シドウ ヴァレリー・ケネッセン カサンドラ・ガヴィオラ ウィリアム・スミス

こけおどし大作映画で有名なディノ・デ・ラウレンティスの娘ラファエラ・デ・ラウレンティスのプロデュース。闘いを前にしてコナンが神「クロム」に人間はなぜ死ぬのか、なぜ永遠に生きられないのかを問いかける哲学的なシーン(テレビ放映時はカットされる)、闘いのさなか一瞬現われた恋人ヴァレリアの亡霊がコナンに"Do you want to live forever?"と尋ねる宗教的なシーン(吹き替えでは「愛は不滅よ」と陳腐な台詞に変わっている)があり、この荒唐無稽な冒険活劇も欧米では芸術作品として扱われている。原作はアメリカ人ロバート・E・ハワードの人気ヒロイック・ファンタジーで、「創元推理文庫」版の解説によると、時代は12,000年前、アトランティス大陸の水没直後、ユーラシア大陸とアフリカ大陸が地続きだった頃。コナンの出自、キンメリアは北方の部族と設定されている。神と世界観はゲルマン神話に似ているが、アイルランド・アルスター神話の半神半人の英雄クーフーリンのイメージが肉体派のコナンに入り込んでいるのは明らかで、シン・リジィのレコード・ジャケットなどでおなじみのアイルランドの人気イラストレーター、ジム・フィッツパトリックの描いたポスターから抜け出てきたかのようだ。剣は「エクスカリバー」におけると同様重要な役割を付与され、ドゥルイドに相当する魔法使いも登場する(ただしシュワルツェネッガーの剣術もマコの風貌も呪文も見た目は日本風)。死の世界へ連れ去られないようにコナンの全身に呪文を書き付けるところは、カンヌ受賞の日本映画「怪談」の影響だろう。ロケ地はスペインとカナダ。脚本にオリヴァー・ストーンが参加。バジル・ポールドゥリスの音楽も素晴しい。(写真は【マン】オバカ夫婦のラスベガスみやげ、顔だけハメ込みのCGです。)
【マン】


カスパー・ハウザーの謎 The Mistery of Kaspar Hauser / Jeder Fur Sich Und Gott Gegen Alle / The Enigma of K. H. / Every Man for Himself and God Against All
1974年 西ドイツ 110分 ドイツ語
ヴェルナー・ヘルツォーク監督 ブルーノ・S ヴァルター・ラーデンガスト ブリギッテ・ミラ ヴィリー・センメルロッゲ ミヒャエル・クローヒャー ハンス・ムゼウス ヘンリー・ヴァン・リック グロリア・ドアー フォルカー・プレヒテル

見終わって「ウーム」と唸ってしまうような映画。人間が無垢の精神と出会った、南ドイツの実話。主人公の夢の中になぜかアイルランドの聖地クロウパトリック山の登拝光景が現われるだけなのだが、敢えて紹介。【マン】

1828年聖霊降臨節の日曜日。ドイツのある町で身許不明の青年が保護された。長年監禁されていた彼はろくに歩けず、言葉も知らなかった。唯一書けた文字「カスパー・ハウザー」が彼の名前となる。ある紳士に預けられ教育を受けるようになったカスパー。しかし、彼は次第に社会の通念に疑問と不条理を感じるようになる…。19世紀に実際に存在した、名前も身分もまったく不明で言葉もしゃべれない青年についての記録をもとに映画化。突然人間世界に現れてしまった彼を通して、慣習、宗教などの既成の概念、そして人間の存在への疑問を投じた問題作。因習に捕らわれていないがゆえ、柔軟な発想ができるカスパーが、神の存在に疑問を投げかけるところは、「よくぞ言ってくれました」って感じ。神と人間の尊厳も脅かすカスパー・ハウザーの存在に危機感を覚えた人達によって彼は亡き者にされるが、「人間は怪物です」という彼のセリフが心に突き刺さる。カスパー・ハウザーは高貴な家の落し種だったのではという通説がまことしやかに伝わっているが、そのカスパーを演じたブルーノ・S は、幼い頃から精神病院に入れられ、何度も脱走を繰り返し、26歳で退院して世間に出たという特異な人物。彼の圧倒的な存在感が作品にリアリティを与えている。【erin】

(2000/10/4) 私は、現在大学3回生で、教育学を専攻しています。卒業論文で「カスパー・ハウザー」について研究していこうと考えています。それで、映画「カスパー・ハウザーの謎」も参考の一つにしたいと考えていました。しかし、日本では廃盤になったと聞き、見るのをあきらめていました。でも、なんだかあきらめきれずに、サーチエンジンで「カスパー・ハウザーの謎」を調べてみて、このページにたどりつきました。ここはアイルランドやスコットランドに関する映画などの専門ページみたいですね。おそらく映画はアイルランドやスコットランドにはほとんど関係はないと思うんですが…。でも、INDEX にコメントが載ってましたよね。レンタルで見られるんですか?廃盤というからにはもう売ってないんでしょうけど…。もしレンタルで見たのなら、どこのお店か教えていただけませんか。あと、もし録画している方がいらっしゃったら連絡いただけないでしょうか。よろしくお願いします。【ひろひろ】

映画「カスパー・ハウザーの謎」は、私個人的には、十数年前にまだレンタルビデオというものが出始めの頃、東京・渋谷にアート系の希少ビデオ専門の小さなレンタル屋があって、そこでレンタルして見たものです。当時でも一般のレンタル屋には置かれなかっただろうと思う、それほど珍しいビデオでした。(ちなみにこのレンタル屋には、完全主義者のキューブリックが戸田奈津子の日本語字幕にOKを出さなかったために当時日本でのビデオ発売は絶望とされていた「時計じかけのオレンジ」のアメリカ直輸入品ズタズタ修正版(局部の見えるシーンが全部切られている)も置いてあり、私が初めて見たのがこれ。)そのレンタル屋は惜しくも閉店して十年以上経ちます。閉店の際に在庫ビデオの処分販売があり、私はもちろんカスパー・ハウザーを狙って飛んで行ったのですが、いち早く他の誰かに買われた後でした。(ちなみにその時私が買い取ったビデオが「アラン」でした。)その後十年以上、中古ビデオ屋を探していますが、日本国内では見たことがありません。数年前に一度アメリカでビデオの再リリースがあったのですが、これも今は廃盤のようです。NHKの衛星放送あたりで放映されたことがあるかもしれません。当インデックスをご覧の方には、アイルランドまたはスコットランド関係の映画オタクはいらっしゃっても、ドイツ映画オタクはあまりいらっしゃらないと思いますが、もしやご協力いただける方はご連絡ください。【マン】

(2000/10/11)ドイツも好きでカスパー・ハウザーには私も興味を持っていたという【erin】さんから、ご自分の映画サイトに掲載中の「カスパー・ハウザーの謎」情報を送っていただきましたので、データの方に追加します。

(2000/10/13)ありがとうございます。こうして協力してくださる方がいて、少しでも情報が集まってうれしいです。【ひろひろ】

(2000/11/4) 映画配給会社パンドラの青木と申します。たまたまこのHPを見ていたらヘルツォークの「カスパー・ハウザーの謎」について書いてあったので、これは書いておかなければと思ってメールしました。実は10月下旬に東京ドイツ文化センターでヘルツォーク特集を1週間やりまして、その中でこの「カスパー・ハウザーの謎」も上映しました。たった1回きりの上映でしたが、最近はほとんど上映されることがなかったのでたくさんの人が見に来て下さいました。ヘルツォークですが、「カスパー・ハウザーの謎」は残念ながら上映予定はありませんが、12月16日(土)からBOX東中野でヘルツォークの最新作「キンスキー、我が最愛の敵」と1月13日(土)から「小人の饗宴」、そしてその2週間後に「アギーレ・神の怒り」「フィツカラルド」と続く上映予定があります。ビデオは10月下旬に東北新社さんから「アギーレ・神の怒り」「フィツカラルド」をはじめ4、5本発売されたので、もしかしたら「カスパー・ハウザーの謎」も発売されたかもしれません。【アオキ ミホ】http://pomco.tripod.co.jp/

東北新社のHPを見たところ、発売されたのは「アギーレ・神の怒り」「フィツカラルド」「ノスフェラトゥ」「コブラ・ヴェルデ」「カスパー・ハウザーの謎」の5本のようです。アイリッシュネタからだいぶ外れた個人的な話題となりますが、私の夫がヘルツォーク狂いで、情報感謝、明日さっそく秋葉原に行って買ってくると言っております。【マン】

(2000/11/11) ありがとうございました!すぐにいろいろ調べて、ビデオを購入することができました!それで、今日、ビデオが来たんですよ!これから見ようと思っています★ほんとうにありがとうございました!アイルランド・スコットランドのことではないのに、いろいろ教えていただいて、ついに手に入れることができたのも、このホームページに出会えたからです。卒業論文もがんばっていこうと思います。これからもちょくちょく寄らせてもらいますね。【ひろひろ】


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