IRISH-ON-FILM INDEX
ザ・ブレイク A Further Gesture/The Break ![]() ![]() ![]() 1996年 ドイツ、スペイン、イギリス ?分 R ロバート・ドーンヘルム監督 スティーヴン・レイ アルフレッド・モリーナ ロサナ・パストール ブレンダン・グリーソン マリア・ドイル・ケネディ ホルヘ・サンス プリュイット・テイラー・ヴィンス ポール・ローナン IRAの中年兵士ショーン・ダウドは北アイルランドの刑務所を脱獄し、単独でニューヨークに逃亡。FBIの追跡をかわすために同郷人には近寄らず、不法滞在のグァテマラ人達の中に潜伏する。グァテマラ人達が反政府活動家であることを知った彼は、要人暗殺にプロのテロリストとして力を貸す。実際にベルファスト生まれでIRA活動家と結婚したというスティーヴン・レイ自身のアイデアから生まれたドラマ。主役がIRAである必然性はあまりなく、B級アクション・メロドラマに転んでもおかしくないストーリーなのだが、スティーヴン・レイの陰りある演技によって見ごたえ十分。アイルランドを離れたアイルランド人が、滞在先のアイリッシュ・コミュニティからも切り離された時、どれほどの孤独に陥るかを演じきる。ヒスパニック・レストランの厨房で皿洗いをする彼が、「アイルランド人はブロンクスで大工でもしろ。俺達ヒスパニックの職を奪うな」と悪態をつかれるシーンが、1950年代以前と1980年代以降で塗り変えられたニューヨークの民族地図を象徴。制作は社会派の話題作を連発しているチャンネル4。「バリー・リンドン」の挿入曲としても有名な「Mna na h-Eireann」がテーマに使われ、ティン・ホィッスルによるアイリッシュ・トラッド・ヴァージョンと、ケーナによる南米ヴァージョンが演奏される。【マン】 プリンセス・スタリオン The Princess Stallion ![]() ![]() ![]() 1997年 イギリス 90分 (TV) マーク・ヘイバー監督 アリアナ・リチャーズ アンドリュー・キアー デヴィッド・ロブ マーシア・レイトン アン・スコット・ジョーンズ リーアム・ドーラン スコットランドの森に棲息する幻の白馬と、仲良しの少女と、森の独居老人と、白馬を連れ去ろうとする密猟者の追い駆けっこという、ストーリーに何の工夫もないホールマーク社製テレビドラマ。【マン】 恋の闇、愛の光 Restoration ![]() ![]() 1995年 アメリカ 117分 R マイケル・ホフマン監督 ロバート・ダウニー・Jr サム・ニール デヴィッド・シューリス ポリー・ウォーカー メグ・ライアン イアン・マッケレン ヒュー・グラント イアン・マクダーミッド メアリー・マクロード 王政復古直後、国王チャールズ2世(サム・ニール)の愛人を愛して宮廷を追放された若い医師(ロバート・ダウニー・Jr)が、清教徒のふうてん病院でアイルランド女(メグ・ライアン)と出会い、治療に生きがいを見い出す。清教徒が禁じた音楽とダンスを、彼が精神病患者の治療に取り入れると、当然のようにアイルランド女はダンスで生き生きと蘇る。彼女は、アイルランドがクロムウェルの征服を受けた時、清教徒兵士の子を身ごもってロンドンに出て来たが、夫には去られ子も亡くし、悪魔が子供を連れ去ると思い込んで不眠症の神経衰弱になったという設定。アイルランドのフォークロアではしばしばクロムウェルが悪魔として登場する。英国各地でロケ。美術、衣装でアカデミー賞受賞。【マン】 オースティン・パワーズ Austin Powers: International Man of Mystery ![]() 1997年 アメリカ 95分 M・ジェイ・ローチ監督 マイク・マイヤーズ エリザベス・ハーレイ マイケル・ヨーク ミミ・ロジャーズ ロバート・ワグナー セス・グリーン ファビアナ・ウデニオ バート・バカラック キャリー・フィッシャー ロブ・ロウ プリシラ・プレスリー クリスチャン・スレーター 「カジノロワイヤル」タイプのおしゃれなコメディ。冷戦時代、女にモテモテだった英国諜報員オースティン・パワーズと悪の帝王ドクター・イーヴル(マイク・マイヤーズの2役)が、自らを冷凍保存して宿命の対決を1967年から30年後の1997年に持ち越し、60年代的な時代錯誤ぶりを発揮しながら、すべてが「おしゃれ」でなくなった90年代を風刺する。ただしオースティン・パワーズはジェームズ・ボンドとは違い、スコットランド人ではなくロンドンっ子で、しかも労働者階級出身と思われる。悪の手下にアイルランド人の殺し屋パディ・オブライエン(ポール・ディロン)が登場。何ら政治的背景のない、ただの「アイルランド人の殺し屋」。その風貌は紅毛碧眼で不細工な顔、服装は黒の革ジャンにハンチング帽、必殺技は腕力まかせ、殺しの現場にチャーム(シャムロックや妖精レプラコーン等の形をした小さなマスコット)を落してゆくのが特徴。【マン】 モンティ・パイソン 人生狂騒曲 Monty Python's the Meaning of Life ![]() ![]() 1983年 イギリス 107分 R テリー・ギリアム監督・出演 テリー・ジョーンズ監督・出演 グレアム・チャップマン ジョン・クリーズ エリック・アイドル マイケル・パリン スプラッター、スカトロジー、老人虐待、少年虐待、人種差別、あまりにも即物的なセックス描写(ただしセリフだけ)など悪趣味度が高いので、取扱要注意の劇場公開映画。人間の誕生から死までの様々なシーンをスケッチする。スケッチの1つは「第三世界」ヨークシャーが舞台のミュージカル仕立て。カトリック教会がコンドームやその他の手段のバース・コントロールを認めないので、数十人の子供がいる労働者家族。帰宅した一家のあるじは、工場閉鎖で失業したと告げ、子供達を人体実験用に薬品会社に売ると言う。一部始終を見た隣家の改革派(プロテスタント)夫婦は「カトリックのアホめ」と詰った後、ルターの功績からプロテスタントがどんなコンドームでも使用できることまで長々と説明する。【マン】 最近見直して気が付いたが、ズールー戦争のスケッチの出だし、ズールー族が包囲した英国軍を攻めて来る場面で、一瞬「1879 GLASGOW」というテロップが出てから「1879 ZULU」と出る。あれは絶対スコットランドを野蛮な未開地としてバカにしているのだ(笑)。【S杉山】 アベンジャーズ The Avengers ![]() ![]() 1998年 アメリカ 91分 ジェレマイア・S・チェチック監督 レイフ・ファインズ ユマ・サーマン ショーン・コネリー ジム・ブロードベント フィオナ・ショウ エディ・イザード アイリーン・アトキンズ ジョン・ウッド パトリック・マクニー(声) 山高帽にこうもり傘の紳士ジョン・スティード(レイフ・ファインズ)は英国諜報員。謎の美女ミセス・ピール(ユマ・サーマン)と協力して、プロスペロー気取りで天候を操り、真夏のロンドンを凍らせて世界を脅迫する悪の科学者サー・オーガスト・デ・ウィンター(ショーン・コネリー)に立ち向かう。従来アート系映画にしか登場しなかったシリアス俳優レイフ・ファインズを、お笑いアクション映画の主人公に据え、ショーン・コネリーを悪漢に据えたところが面白い。ショーン・コネリーがハイランドのキルトとプラッドで盛装し、訛りに訛った大演説をぶって国連を脅迫するのだが、要求するのはスコットランド独立ではなく金銭なのがちょっと残念。「オースティン・パワーズ」に対抗するかのように、60年代後半ファッションで統一し、音楽に至るまで初期の007のパロディ。【マン】 ファイト・マネー The Great White Hype ![]() ![]() 1996年 アメリカ 91分 R レジナルド・ハドリン監督 サミュエル・L・ジャクソン ジェフ・ゴールドブラム ピーター・バーグ ジョン・ロヴィッツ コービン・バーンセン ジャレット・レノン チーチ・マーリン ジョン・リス・デイヴィーズ 落ちぶれたボクシング・プロモーターが、ヘビー級の現チャンピオンをかつてアマチュア時代にノックアウトした天才がいることを知り、一発逆転の金儲けを企てる。だが田舎町で探し当てた件の天才テリー・コンクリン(ピーター・バーグ)は、今はボクサーではなく場末のロック・ミュージシャンで、しかも「黒人」ですらなく「白人」だった。コンクリンにボクシングをコーチする一方で、男前のアイリッシュ・スターとして緑一色、シャムロックづくめに飾り立て、アイリッシュ魂を煽り立て、「アイルランドの種馬」と宣伝して、コンクリンもすっかりその気になるのだが、試合の結果やいかに。昔はボクサーといえば社会的に行き場のないアイルランド系移民の職業だったもので、アイリッシュらしさを派手に--しかも1990年代にはアイリッシュ・スピリッツは失せ果て、形骸化し作り上げなければならないアイリッシュ・スタイルを戯画化している。それ以上に、黒人対白人、アメリカ社会の人種的対立をきわどくあからさまに描いて刺激的。コンクリンの試合前にはお約束の「ダニー・ボーイ」も演奏されるが、映画全体のトーンは黒人音楽のラップ。【マン】 バーチャル・ウォーズ The Lawnmower Man ![]() 1992年 アメリカ 140分(ディレクターズ・カット) R ブレット・レナード監督 ジェフ・フェイヒー ピアース・ブロスナン ジェニー・ライト マーク・ブリングルソン ジェフリー・ルイス ジェレミー・スレイト ディーン・ノリス コリーン・コフィ ロザリー・メイユー オースティン・オブライエン アンジェロ博士(ピアース・ブロスナン)はその名前からしてイタリア系だと思っていたし、劇場公開時には気がつかなかったが、ディレクターズ・カットで改めて見ると、彼のデスクにはアイルランド国旗のミニチュアが飾られ、いつもアイリッシュ・ウィスキーのブッシュミルズを飲んでいる。他にもマッキーン神父(ジェレミー・スレイト)というのが登場するが、知的停滞児の主人公を折檻して喜ぶ、神の名をかたった変態男で、最期は生きながら地獄の業火に焼かれる。CG映画の走りで、スティーヴン・キング原作のSF恐怖映画。やはりアイルランド出身のパトリック・バーギンが主演する続編「バーチャル・ウォーズ2」の方はゲーム世代向きのお子様映画。【マン】 リフ・ラフ Riff-Raff ![]() ![]() 1990年 イギリス 95分 ケネス・ローチ監督 ロバート・カーライル エマー・マッコート リチャード・ベルグレイヴ ジミー・コールマン デヴィッド・フィンチ ゲイリー・J・ラミン ディーン・ペリー ジョージ・モス ウィリー・ロス エイド・サパラ リッキー・トムリンソン デレク・ヤング 民族の吹き溜まりのようなロンドンのビル改築現場に雇われた労働者群像。グラスゴー出身の日雇い労働者スティーヴ(ロバート・カーライル)は、ダブリン出身で占いや神秘主義に傾倒する歌手志望の娘スーザン(エマー・マッコート)と、不法占拠のビルの一室で同棲を始める。スティーヴは本名をパトリック・ローガンといい、母の訃報をラジオの尋ね人番組で知り、ヒッチハイクでグラスゴーに戻る。葬儀の直後に母の灰はその場でばら撒かれ、墓は作らないのだが、これはどのような宗派の流儀なのだろう? 他にリヴァプール出身のラリー:サッチャー政権(当時)と保守党批判を繰り返し、組合結成を呼び掛け、会社側に待遇と労働環境の改善を申し入れた途端に解雇となる。シェイマス:現場監督の移動電話を持ち出して故郷(多分アイルランド)の母と話しているところを見つかり、暴れて警官に逮捕される。【マン】
自由と大地 Tierra y Libertad/Land and Freedom ![]() 1995年 スペイン、イギリス、ドイツ 109分 ケネス・ローチ監督 イアン・ハート ロサナ・パストール トム・ギルロイ マーク・マルティネス フレデリック・ピエロ フランコの反乱がきっかけとなったスペイン内戦(1936-39年)にファシズムと闘う為に世界中から若者がスペインに集結。この中に元IRAの戦士がいて、自分の国も大変だろうにこんな所に来ていていいのか?? と疑問に思いましたが、同じ虐げられている立場として共感できたのだろうし、何より貧しいアイルランド人にとって報酬も魅力的だったのでしょう。主人公のイアン・ハートも失業中で、生活保護でぶらぶらしている今の現状に飽き足らず、何か有意義な事をやって自分の力を試したいと参加するわけですが、外国の若者達が参戦にはこういう背景があったのかと納得できるものがありました。また、ファシズムと反ファシズムとの戦いのみならず、反ファシズム陣営の中のスターリン主義者と反スターリン主義者の対立も浮き彫りにしていてスペイン内乱というと「誰が為に鐘は鳴る」の認識しかない私にはなかなか興味深い部分でした。ケン・ローチは、軍事政権と革命一派との戦いという図式より、内乱に参加した人達の生きざまを描くことを優先させていたような気がします。【erin】 マーリン(ビデオ題:エクスカリバー 聖剣伝説) Merlin ![]() 1998年 アメリカ、イギリス 182分 (TV) スティーヴ・バロン監督 サム・ニール ミランダ・リチャードソン イザベラ・ロッセリーニ マーティン・ショート ヘレナ・ボナム・カーター ルトガー・ハウアー ジョン・ギールグッド ジェームズ・アール・ジョーンズ(声) ポール・カラン ジェレミー・シェフィールド リーナ・ヒーディ マーク・ジャックス ニコラス・クレイ ジム・ヘンソン工房のSFXが美しい、ホールマーク社製の力作長編フェアリーテイル。ブリタニア最初のキリスト教徒の王(ジョン・ギールグッド)がサクソン人の侵略者(ルトガー・ハウアー、ハマリ役)に殺されたのを機会に、いにしえより生き続ける妖精の女王マブ(ミランダ・リチャードソン)が地上に現れ、国を異教の暗黒時代に引き戻そうとする。マブはマーリン(サム・ニール)に魔法を伝授するが、母を殺したのがマブだったことを知った時から、師弟の宿命の対決が始まる。やがてアーサー王と、その姉モーガン(ヘレナ・ボナム・カーター)が産んだ近親相姦の息子モードレッドは、マーリンとマブの代理戦争の果てに死ぬ。クライマックスはマーリンとマブの直接対決。この決着のしかただが、SFXを駆使した超能力対決のあげく、マーリンと人間達はマブに背を向け、無視し、忘れ去ることによって、このケルト的超自然の精を滅亡させてしまうのだ。サクソン軍と対戦するウーサー・ペンドラゴンのブリタニア軍が赤いマントのローマ風の軍装なのは、歴史的にも真に迫っているが、1世代後のアーサーの軍勢はもう中世の甲冑姿になっているのが嘘っぽい。マーリンは超能力者の魔法使いで、ケルトのドルイドとしては描かれていない。ストーリーにはケルトが生きていないが、マントの裾がケルト模様だったり、視覚的にはケルト風の雰囲気を出している。同じ題材の映画「エクスカリバー」とどうしても比較してしまう。ロケ地はウェールズのスノードニア地方。同年カナダで、ジェイソン・コネリー(ショーン・コネリーの息子)とデボラ・ムーア(=デボラ・バリモア、ロジャー・ムーアの娘)が共演する同じタイトルが作られているようだ。【マン】 ローズランド Roseland ![]() 1977年 イギリス ?分 ジェームズ・アイヴォリー監督 テレサ・ライト ルー・ジャコビ ヘレン・ギャラガー ジェラルディン・チャップリン ジョーン・コープランド クリストファー・ウォーケン リリア・スカラ デヴィッド・トーマス ニューヨーク/マンハッタンの大ダンスホール「ローズランド」を舞台に繰り広げられる人間模様。3話のオムニバス。第1話は、目下独身の初老の男女の出会い。バーで酒を勧められても飲まないメイ(テレサ・ライト)はその理由を「私はアイルランド系で、家族に大酒飲みがいたから」と説明する。だが死んだ夫と自分自身の若い頃の姿を鏡の中に幻視し、彼女は酒に溺れ始める。【マン】 ハッスル Hustle ![]() 1975年 アメリカ 120分 R ロバート・アルドリッチ監督 バート・レイノルズ カトリーヌ・ドヌーヴ ベン・ジョンソン ポール・ウィンフィールド アイリーン・ブレナン エディ・アルバート アーネスト・ボーグナイン ジャック・カーター シャロン・ケリー ロサンゼルス市警の刑事フィル・ゲインズ(バート・レイノルズ)は、自宅でも立ち寄ったバーでも、はたまた同棲中のパリジェンヌの娼婦(カトリーヌ・ドヌーヴ)と一緒に行くイタリアン・レストランでも、アイリッシュ・ウィスキーの「ブッシュミルズ」しか飲まない男。同僚の黒人刑事(ポール・ウィンフィールド)までがつられて「ブッシュミルズ」と注文する始末。男気監督アルドリッチのウィスキーへのこだわりは、他に「特攻大作戦」でも発揮される。【マン】 サンセット・ハイツ Sunset Heights ![]() ![]() ![]() 1997年 アイルランド ?分 コルム・ヴィラ監督 ジェームズ・コズモ ジム・ノートン トビー・スティーヴンス パトリック・オケイン ピーター・バランス ジョー・レイ エマー・マッコート
女にモテモテのシンデレラ・ボーイが主人公の18世紀イングランドの通俗小説を、ハイテンションのスラップスティックに仕立ててアカデミー各賞を受賞した。主人公を慕うヒロインの従姉妹の夫はフィッツパトリック、その友人はマクラクランといい、2人ともロンドンに立派な屋敷を持つアイルランド出身の貴族。だが18世紀の「ステージ・アイリッシュマン」そのままのキャラクターで、「嫉妬深くて、すぐカッとなって、そのうえ愚かなアイルランド男」と妻が詰る通りの行動で騒ぎを起こす。語り手のマイケル・マクリアンモアはしっかりゲール語表記でクレジットされているが、アイルランド訛りでは語らない。野性的なアバズレ女を演じたダイアン・シレントはショーン・コネリーの妻だった人。【マン】
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